正直に言うと、星のや富士は「誰にでもおすすめできるお得な宿」ではありません。
1泊の料金だけ見れば、都内でそこそこ良いホテルに2回泊まれてしまう金額です。
それでも、30代の共働き夫婦の記念日旅行として、星のや富士が何度も候補にあがるのは理由があります。
富士山と河口湖を見下ろす丘にある「星のや富士」というひとつの小さな村で、クラウドテラスや焚き火ダイニング、テラスリビング付きのキャビンで過ごす時間は、単なる「高級ホテル滞在」とは少し質の違う体験だからです。
この記事では、私自身の宿泊経験とリサーチをもとに、
- 星のや富士がどんなカップルに本当に向いているのか
- 結婚記念日に選ぶなら、いつ・どのプラン・どんな過ごし方がベストか
- 逆に、どんな人はあえて別の宿を選んだ方がいいか
まで、できるだけフラットにお伝えします。
読み終わるころには、「星のや富士に予約するか」「別の選択をするか」を、ふたりで迷いなく決められる状態になっているはずです。
なぜ星のや富士は「高いけど気になる」のか
結婚記念日のご褒美旅行で、いちどは候補にあがる理由
おそらく、あなたも一度はSNSや雑誌でこういう写真を見たことがあるはずです。
- 富士山を正面に望むウッドデッキのチェア
- 森の中のテラスで、毛布にくるまって焚き火を眺めるカップル
- テラスリビングのソファで、朝日を浴びながらコーヒーを飲む人
これらはすべて「星のや富士」の象徴的な風景です。
星のや富士は、星のやブランドの中でも、日本初のグランピングリゾートとして開業した施設です。
星のやブランドは京都や軽井沢などにもありますが、星のや富士は「富士山と森の中で過ごすこと」そのものに価値を置いた宿という位置づけになっています。
そのため、結婚記念日やハネムーンの「一生の思い出に残る旅」として、30代の共働き夫婦からの注目度が非常に高いのです。
旅行サイトの口コミだけでは、見えてこない不安
一方で、検索をすると必ず目に入ってくる声もあります。
- 「値段の割に部屋はシンプルだった」
- 「階段が多くて驚いた」
- 「天気が悪くて富士山が見えなかった」
こうした口コミだけを見ると、
「高いのに、もし天気や環境が合わなくて外れだったらどうしよう…」
という不安がむしろ大きくなってしまいますよね。
私のもとにも、読者さんからこんな質問がよく届きます。
「正直なところ、星のや富士ってコスパどうですか?」
「記念日に1泊する価値、ありますか?」
この裏側には、
「がんばって働いて貯めたお金だから、失敗したくない」
「夫に“ここにして正解だったね”と言ってほしい」
という、とてもまっとうな気持ちがあります。
星のや富士の価値は「部屋の豪華さ」ではない
ここで、はっきりお伝えしておきたいことがあります。
星のや富士は、いわゆるラグジュアリーホテルのような「豪華な内装の客室」や「重厚なラウンジ」を期待すると、肩透かしに感じる可能性があります。
- 客室(キャビン)は、あくまでミニマルでシンプル
- ベッドルームそのものよりも、テラスリビングとの一体感が主役
- 館内移動には階段や坂道が多く、「便利・楽ちん」というより「自然の中の山の村」という感覚
では、何にお金を払う宿なのかというと、
富士山と河口湖を見下ろす丘の上で、クラウドテラスや焚き火ダイニング、テラスリビングで過ごす「時間」そのものに投資する宿
という表現がいちばん近いと感じています。
この「価値の源泉」が自分たちの好みと合うかどうか。
ここを理解できると、星のや富士を選ぶかどうかの判断がぐっと楽になります。
【結論】: 星のや富士に満足できるかどうかは、「豪華な部屋」より「自然の中でゆっくり過ごす時間」に価値を感じられるかどうかでほぼ決まります。
なぜなら、星のや富士の体験の中心はキャビンの中ではなく、クラウドテラスやテラスリビングで過ごす朝晩の時間だからです。写真映えや高級感だけで判断してしまうと、「思っていたのと違う」というギャップが生まれやすくなります。この視点を持っておくと、事前の期待値調整がぐっと楽になります。
記念日カップル専用・失敗しない3つの選び方フレーム
ここからは、「さやかさん夫婦」のような30代共働きカップルが記念日に星のや富士を選ぶ前に、必ず考えておきたい3つのフレームをお話しします。
- 季節 × ふたりの好み
- プラン(素泊まり/食事付き) × どこにお金をかけたいか
- 滞在時間(1泊 or 2泊) × やりたいことの数
1. 季節 × 好みフレーム:春夏秋冬で変わる「星のや富士の顔」
星のや富士は、富士山と河口湖を見下ろす丘陵地に位置しているため、季節ごとに印象が大きく変わります。
- 春〜初夏:新緑とやわらかな空気。夜はまだ冷えるので焚き火が心地よい季節。
- 夏:都内より涼しく、アウトドアアクティビティが充実。虫や湿度が気になる人は要注意。
- 秋:紅葉と澄んだ空気。空気がクリアで富士山が美しく見える日が多い。
- 冬:雪化粧の富士山が見られる可能性が高いが、寒さに強くないとつらいことも。
「いつがベストですか?」という質問に対して私がいつもお返ししているのは、
「寒さ・暑さにどれくらい強いかと、どんな写真を残したいかで決めましょう」
ということです。
- 寒さに弱くてアウトドアが苦手 → 春〜初夏
- 暑さにはそこそこ強く、アクティブに動きたい → 夏
- すっきりした空と紅葉、落ち着いた雰囲気を楽しみたい → 秋
- 寒さに強くて“冬の富士山の迫力”を体験したい → 冬
2. プラン × お金をかけたいポイント
星のや富士には、素泊まりに近いものから、食事付きのものまでさまざまなプランがあります。
ここで大事なのは、
「どこにお金をかけると一番“記念日感”を感じられるか」
をはっきりさせることです。
- 焚き火ダイニングなどの夕食体験にこだわりたいカップル
- 朝の光とともにテラスでゆっくり食べるモーニングBOXに価値を感じるカップル
- 食事はある程度でよく、クラウドテラスの時間に重きを置きたいカップル
食事を全部つければ金額はもちろん上がりますが、
「夕食は外で済ませて、朝だけモーニングBOXを楽しむ」というバランスもありです。
3. 滞在時間 × やりたいことの数
星のや富士は、到着してからキャビンエリアとクラウドテラスを結ぶ階段や坂道を含めた「村全体」で過ごすスタイルです。
そのため、スケジュールを詰め込みすぎると、あっという間に時間がなくなります。
- 1泊2日で、「チェックイン → 焚き火ダイニング → 朝食 → チェックアウト」
だけでもそれなりに充実しますが、 - 「クラウドテラスで本を読む時間」「テラスリビングでゆっくり話す時間」を確保したいなら、2泊3日の方が満足度が高くなりやすいです。
とはいえ、現実的にはお休みや予算の関係で、ほとんどのカップルは1泊2日を選びます。
その場合は、「やりたいことを3つまで」に絞るのがポイントです。
【結論】: 記念日の星のや富士は、「やりたいことを3つに絞る」と満足度が一気に上がります。
なぜなら、クラウドテラスとテラスリビングを行き来するだけでも、自然と時間が溶けていくからです。あれもこれも詰め込んでしまうと、せっかくの焚き火や朝の静けさを味わいきれないまま、慌ただしくチェックアウトを迎えてしまいます。優先順位をつけることが、いちばんの贅沢になります。

予算と過ごし方が一目でわかるモデルプラン&比較
ここからは、「結局いくらくらい見ておけばいいの?」「1泊と2泊で満足度ってどれくらい違うの?」という疑問に答えるために、3つのモデルプランを用意しました。
※具体的な金額はシーズンや予約経路で変動するので、ここでは「料金レンジのイメージ」として捉えてください。
モデルプランA:1泊2日・平日・控えめご褒美プラン
- イメージ: 「予算は抑えめだけど、星のや富士の雰囲気をちゃんと味わいたい」
- プランの例: 平日1泊+朝食(モーニングBOX)付き
- こんなカップルに:
- 初めての星野リゾートで、まずは雰囲気を確かめたい
- 食事は外で済ませて、朝のテラス時間を大切にしたい
1日の流れ(イメージ)
- 14:30頃 河口湖周辺で軽く観光
- 15:00〜16:00 チェックイン・キャビンへ移動
- 夕方〜夜 クラウドテラスを散策・バーで1杯
- 夜 河口湖周辺で外食 or 軽めの食事
- 翌朝 テラスリビングでモーニングBOXを楽しむ
- 〜11:00 クラウドテラスやキャビン周辺でのんびり
- 12:00頃 チェックアウト/帰路へ
メリット
- 比較的予算を抑えつつ、星のや富士の「森の村」感とモーニングBOXを体験できる
- 食事の自由度が高く、外のレストランも楽しめる
デメリット・失敗例
- 焚き火ダイニングなどのディナー体験は別料金になり、結局トータル予算が膨らみがち
- 外食の時間を長く取りすぎると、クラウドテラスを楽しむ時間が減ってしまう
モデルプランB:1泊2日・週末・王道記念日プラン
- イメージ: 「せっかくの結婚記念日だから、食事も含めてしっかり楽しみたい」
- プランの例: 週末1泊・夕朝食付き(焚き火ダイニング+モーニングBOXなど)
- こんなカップルに:
- 記念日らしい特別感を重視したい
- 初星のや富士で、王道の楽しみ方をしたい
1日の流れ(イメージ)
- 午前 都内からゆっくり出発
- 14:00〜15:00 チェックイン・キャビンへ移動
- 15:30〜 クラウドテラスでコーヒーを飲みながら、富士山や森の景色を楽しむ
- 夕方 焚き火ダイニングのディナー
- 夜 クラウドテラスのバーで1杯・星空観賞
- 翌朝 テラスリビングでモーニングBOX
- 〜11:00 写真撮影・散歩・読書など
- 12:00頃 チェックアウト
メリット
- 「焚き火×ディナー」「テラスでの朝食」といった、星のや富士らしい体験を一通り味わえる
- 記念日にふさわしい特別感があり、思い出に残りやすい
デメリット・失敗例
- アクティビティを盛り込みすぎると、かえって慌ただしくなる
- 到着時間が遅すぎると、焚き火前のクラウドテラスをゆっくり楽しむ時間が減る
モデルプランC:2泊3日・ベストシーズン贅沢プラン
- イメージ: 「今回は思い切って、とことん星のや富士に浸かる旅にしたい」
- プランの例: 2泊・夕朝食付き(一部の日は素泊まり+外食も可)
- こんなカップルに:
- 5周年や10周年など、区切りの大きい記念日
- 仕事が多忙で、日常からしっかり切り離された時間をつくりたい
2泊3日の流れ(イメージ)
- 1日目:
- 到着 → クラウドテラスでゆっくり → ディナー → 夜の焚き火と星空
- 2日目:
- 朝食 → 周辺で軽く観光 or 何もしない時間 → 夕方に戻ってテラスで読書
- 3日目:
- 朝食 → チェックアウトまで森と富士山を眺めながらのんびり
メリット
- 「何もしない時間」をしっかり取れるので、心身ともにリセットできる
- 富士山の見え方が日によって違うため、チャンスが増える
デメリット・失敗例
- 予算は大きくなるので、他の旅行とのバランスを要検討
- 2日目に予定を詰め込みすぎると、「結局疲れた」で終わる
| プラン名 | 概要(シーズン・泊数) | 料金目安のイメージ(ペア合計) | 含まれる食事のイメージ | 主な体験 | 向いているカップル像 |
|---|---|---|---|---|---|
| A:控えめご褒美プラン | 平日1泊2日・通年 | 中程度〜やや高め | 朝食のみ(モーニングBOX) | クラウドテラス散策、テラスでの朝時間 | まずは雰囲気を試したい星野リゾート初心者カップル |
| B:王道記念日プラン | 週末1泊2日・ベストシーズン | 高め | 夕朝食付き(焚き火ダイニング+モーニングBOXなど) | 焚き火ディナー、クラウドテラスバー、テラスでの朝食 | 結婚記念日をしっかり形に残したいカップル |
| C:贅沢2泊プラン | ベストシーズン2泊3日 | 高め〜かなり高め | 夕朝食付き+一部素泊まりも調整可 | 何もしない時間、日替わりの富士山ビュー、周辺観光 | 5周年・10周年など節目をゆっくり祝い、心からリセットしたいカップル |
【結論】: はじめての星のや富士で「1泊と2泊どちらにするか迷ったら」、まずは王道の1泊2日プランを軸に考えてください。
なぜなら、1泊2日でも「クラウドテラス+焚き火ディナー+テラスでの朝食」を組み合わせれば、星のや富士らしさを十分に味わえるからです。そのうえで、「もっと時間が欲しい」と感じたら、次の記念日に2泊滞在を検討するのがおすすめのステップです。
星のや富士を検討中のカップルからのよくある質問
最後に、読者さんからよくいただく質問と、その答えをまとめます。
ここまで読んで「まだ不安が残るな」と感じたら、このQ&Aで一度整理してみてください。
Q1. 天気が悪くて富士山が見えなくても楽しめますか?
A. 富士山が見えない日でも、星のや富士の滞在を楽しむことは十分できます。
クラウドテラスの焚き火、森の中の静けさ、テラスリビングでの読書やおしゃべりは、天候に関係なく味わえます。
ただし、「絶対に富士山の写真を撮りたい」という期待が大きすぎると、満足度に影響します。
「富士山が見えたらラッキー」くらいの気持ちで行けると、一番幸せな過ごし方になります。
Q2. 階段が多いと聞いたのですが、体力に自信がなくても大丈夫ですか?
A. 星のや富士は、河口湖を見下ろす丘陵地に広がる「小さな村」のような造りです。
キャビンエリアとクラウドテラスを結ぶ導線には、階段や坂道がしっかりあります。
普段あまり歩かない方や、足腰に不安がある方は、
- 事前に公式サイトで移動のイメージを確認すること
- チェックイン時にスタッフに不安を相談すること
をおすすめします。ヒールではなく、歩きやすい靴で行くと安心です。
Q3. お酒があまり飲めないのですが、それでも楽しめますか?
A. お酒を飲まない方でも楽しめます。
クラウドテラスやバーには、ノンアルコールカクテルやホットドリンクも用意されているため、焚き火を眺めながら温かい飲み物を片手に過ごすだけでも、とても良い時間になります。
Q4. 子どもがいない夫婦でも浮きませんか?
A. 星のや富士は、大人同士の滞在が多い施設です。
「大人の静かな時間」を大切にしている雰囲気があるので、子どもがいない夫婦やカップルも多く、むしろ居心地の良さを感じると思います。
Q5. 星のや初心者ですが、最初の星のやとして富士を選んでも大丈夫ですか?
A. 「星のやブランド=静けさと土地の個性を味わう」と考えると、星のや富士はとても分かりやすい施設です。
ただし、自然の中での滞在が好きかどうかで合う・合わないがはっきり別れます。
- 静かな山の中で、焚き火や森の気配を楽しみたい → 星のや富士は相性◎
- 温泉や室内の豪華さを重視したい → 別の星のや(京都・軽井沢など)から始める選択肢も検討の価値あり
【結論】: 「自然の中で過ごすこと」が好きな人にとって、星のや富士は最初の星のやとしても非常にわかりやすく魅力的な選択です。
なぜなら、星のや富士は富士山と河口湖、森の景色に全振りしたコンセプトの施設であり、星のやブランドの「土地の個性を味わう」という思想を体感しやすいからです。一方で、自然よりも温泉や室内の贅沢さを最優先したい場合は、別の星のやからスタートした方が満足度が高くなります。
まとめ&次の一歩
ここまで、「記念日カップル向けの星のや富士」を前提にお話ししてきました。最後に、大事なポイントをぎゅっと整理します。
- 星のや富士は、豪華な客室や便利さではなく、「富士山と森の中で過ごす時間」に価値を置いた宿です。
- 記念日カップルに向いているのは、
- 自然の中で静かに過ごす時間が好き
- 焚き火やテラスでの朝食など、「外で過ごす贅沢」を楽しめる
- 多少の坂や階段も含めて、山の村のような環境を面白がれる
というタイプのふたりです。
- 選ぶときは、
- 季節 × 寒さ・暑さの耐性
- プラン × どこにお金をかけたいか(夕食/朝食/泊数)
- 滞在時間 × やりたいことの数
の3つのフレームで考えると、失敗しにくくなります。
そして何より大切なのは、
「星のや富士が高いか安いか」ではなく、
「ふたりの結婚記念日を、どんな時間として記憶に残したいか」
という軸で考えることだと、私は感じています。
今日できる、具体的な次の一歩
- まずは、ふたりの希望日での「空室とだいたいの予算感」を公式サイトや主要OTAでチェックしてみてください。
- そのうえで、この記事で紹介した
- A:控えめご褒美プラン
- B:王道記念日プラン
- C:贅沢2泊プラン
のどれに近いか、パートナーと話してみるのがおすすめです。
「ここまで読んだけれど、まだピンと来ない」という場合は、無理に決めなくて大丈夫です。
あなたの記念日が、別の場所で最高の形になることだって、もちろんあります。
そのうえで、「やっぱり星のや富士が気になる」と感じたなら――。
きっとそれは、あなたの今の暮らしや価値観に、星のや富士の世界観が何かしら響いている証拠だと思います。
著者情報
執筆者:
山本 まゆ
ラグジュアリーホテル&グランピング専門トラベルライター。
星野リゾート系列を中心に、国内外のホテルやグランピング施設への宿泊経験は年間30泊以上。
「高級宿だからこそ、“ここにしてよかった”と心から思ってほしい。
そのために、良いところだけでなく、合う・合わないも含めて正直に伝えることを大切にしています。」