「インディーズで活動してみたい。でも、生活はどうする?本気でやるって、どこまでやればいい?」
音楽のことを真剣に考えれば考えるほど、インディーズという言葉が気になってくるはずです。
けれど、多くの人が「インディーズ=なんとなく自由」「メジャーじゃない人たち」というぼんやりしたイメージで止まっています。
このガイドでは、インディーズの意味・仕組み・お金・働き方・キャリアを、ひとつひとつ整理していきます。
読み終わるころには、
- 「インディーズとは何か」を定義レベルで言葉にできる
- 自分に合いそうなインディーズ活動パターンが1〜2個見えている
- 「ちょっと怖い」から「失敗してもいいから一歩は踏み出せそう」くらいまで、気持ちが軽くなっている
この状態になってもらうことをゴールにしています。
インディーズって結局なに?“プロかアマか”じゃない基本の整理
結論
インディーズとは、「プロかアマか」を決めるラベルではなく、どんな仕組みと立場で音楽活動を行うかを示す言葉です。
会社員ミュージシャンの一日から考えるインディーズ
想像してみてください。
- 平日は朝から夕方まで会社員として働き、
- 仕事が終わってからスタジオで練習をして、
- 週末には小さなライブハウスでオリジナル曲を演奏するアーティスト。
このアーティストは、ファンからすれば完全にプロの音楽家です。
しかし、このアーティストは大手レコード会社と専属契約を結んでいないかもしれません。
このようなアーティストは、一般的にはインディーズアーティストと呼ばれます。
ここで重要なのは、「インディーズアーティスト=レベルの低い存在」という意味ではまったくないことです。
インディーズアーティストは、大手組織から独立した立場で活動する人たちを指しています。
「インディーズ」と「メジャー」の違いは“構造の違い”
インディーズとメジャーは、「どちらが偉いか」という話ではなく、活動の構造・お金・権利の仕組みが違う2つの選択肢です。
- メジャー
- 大手レコード会社や大手グループ企業と契約して活動するパターン
- 企画・制作・プロモーションに大きな資本が入る代わりに、
権利やスケジュールについて会社側の意向が強く働きやすい
- インディーズ
- 大手レコード会社に所属せず、
インディーズレーベル・自主レーベル・完全セルフで活動するパターン - 自由度が高く、自分で決められることが増える代わりに、
責任も負担も自分側に多く乗ってくる
- 大手レコード会社に所属せず、
つまり、インディーズとメジャーは「プロかアマかの線引き」ではなく、「どの仕組みに乗るかの違い」と考えた方が、実態に近づきます。
日本レコード協会とインディーズの関係
日本の音楽産業では、日本レコード協会(RIAJ)という業界団体が、加盟するレコード会社と共にさまざまな統計や認定を行っています。
- 日本レコード協会に加盟するレコード会社 → 一般的に「メジャー」に分類されやすい
- 日本レコード協会に加盟していないレーベルや、自主制作で活動するアーティスト → インディーズとして扱われることが多い
ここでもう一度整理すると、インディーズとは、
「日本レコード協会に加盟していないレーベル」や「完全な自主制作・自主流通のアーティスト」が、独立した立場で活動するスタイル
と理解すると、かなりクリアになります。

【結論】: インディーズかメジャーかで悩む前に、自分がどんな生活と価値観で音楽を続けたいかを言葉にしてください。
インディーズとメジャーは、どちらも正解でもあり、どちらも不正解になり得る選択肢です。
多くのアーティストが、レーベルの名前だけを基準に選び、そのあとで「やりたいこと」と「求められること」のギャップに苦しみます。
先に自分の働き方と価値観をはっきりさせることで、インディーズという選択肢がぐっと扱いやすくなります。
インディーズで生きるってどういうこと?収入モデルとキャリアの現実
結論
インディーズで生活していくには、ストリーミング再生数だけに頼らず、ライブ・物販・制作依頼・クラウドファンディングなどを組み合わせた「収入ポートフォリオ」を作ることが重要です。
インディーズアーティストの主な収入チャネル
インディーズアーティストが現実的に収入を得ている主なチャネルは、次の通りです。
- ストリーミング配信(サブスク)
- ダウンロード販売
- ライブのギャランティとチケットバック
- 物販(CD、グッズ、ZINEなど)
- 制作依頼・サポート演奏・編曲・レコーディング
- クラウドファンディング・ファンコミュニティ(月額支援)
インディーズアーティストにとっては、この中のどれか1つで大きく稼ぐというよりも、いくつかを組み合わせてトータルの月収を作る考え方が現実的です。
ストリーミング収入の“目安”としてのイメージ
具体的な単価はサービスや契約によって変わりますが、ストリーミングの再生数だけで生活費をまかなうには、かなり大きな再生数が必要です。
イメージしやすくするために、あくまで概念的な例を挙げます。
- 月間で数万〜数十万再生 → 副収入レベル
- 月間で数百万再生 → 生活費の一部を補える可能性が出てくる
- 月間でそれ以上 → 本業レベルも視野に入る
このように考えると、ストリーミングだけでの独立を最初のゴールにしてしまうと、ハードルが非常に高くなります。
むしろ、
- ストリーミングは「名刺代わり」であり
- ライブ・物販・制作依頼などに人をつなぐ導線
と考えた方が、インディーズアーティストにとっては現実的です。
ライブと物販が持つ“現場の強さ”
インディーズアーティストは、ライブの場でファンと直接つながることができます。
この直接性は、インディーズアーティストの大きな武器です。
- ライブのチケット売上
- 会場でのCD・グッズ販売
- 打ち上げやアフタートークでの関係づくり
これらの場で生まれる信頼関係は、クラウドファンディングやファンコミュニティにつながり、その後の活動を支える基盤になります。

仕事とインディーズ活動を両立する“二足のわらじ”設計
インディーズ活動は、必ずしも「仕事を全部やめて音楽に一本化する」ことを意味しません。
- 平日は会社員やフリーランスとして働き、
- 余白の時間と収入の一部を音楽に投資しながら、
- インディーズで作品をリリースしてライブを続ける
このような二足のわらじパターンで、長く活動しているインディーズアーティストも大勢います。
【結論】: インディーズで活動を続けたい場合は、「生活費をどこで稼ぎ、音楽にいくら投資するか」を最初に決めることが非常に重要です。
多くのアーティストが、気持ちだけでフルコミットを選び、その結果として生活が不安定になってしまいます。
生活が不安定になると、音楽の内容以前に精神的な余裕がなくなります。
先に生活の土台を固めておくことで、音楽に向き合う時間と心の余裕を守ることができます。
あなたはどのタイプ?3つのインディーズ活動パターンと選び方
結論
インディーズ活動には大きく分けて3つの代表的なパターンがあります。
自分に合いそうなパターンを選ぶことで、インディーズという言葉が、ぐっと具体的な選択肢になります。
3つの活動パターン
パターンA:インディーズレーベル所属型
インディーズレーベルと契約し、制作・流通・プロモーションの一部を任せるスタイル。
パターンB:配信代行を使ったセルフリリース型
配信代行サービスと契約し、作品の権利やブランドは自分で持ちつつ、流通だけを外部に任せるスタイル。
パターンC:完全DIY+周辺仕事組み合わせ型
レーベルに所属せず、レコーディングやマスタリングも含めて自分と信頼できる仲間で完結させながら、制作依頼やレッスンなどで収入を得るスタイル。
📊 比較表:インディーズ3パターンの特徴
| 活動パターン | 自由度 | 収益の取り分 | 必要な時間・手間 | 難易度 | メジャー移行のしやすさ | 向いている人のイメージ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| パターンA:インディーズレーベル所属型 | 中 | 中〜低(レーベル取り分あり) | 中 | 中 | 中〜高 | 制作に集中したい人、ある程度プロモーションを任せたい人 |
| パターンB:セルフリリース型 | 高 | 高(手数料のみ) | 中〜高 | 中〜高 | 中 | 自分のペースで作品を出したい人、自主ブランドを育てたい人 |
| パターンC:完全DIY+周辺仕事型 | 非常に高い | 高(ほぼ自分の取り分) | 高 | 高 | ケースによる | 何でも自分でやりたい人、制作や教育など複数の収益源を持ちたい人 |
典型的な失敗パターンと回避策
- 失敗パターン1:契約内容を理解しないままインディーズレーベルにサインする
- → 回避策:取り分の割合・契約期間・解約条件・著作権と原盤権の扱いを紙に書いて確認する。
- 失敗パターン2:セルフリリース型で全部ひとりで抱え込んで燃え尽きる
- → 回避策:ジャケットデザインや宣伝を信頼できる友人や外部パートナーと分担する。
- 失敗パターン3:完全DIYで動きつつ、周辺仕事を見つけないために収入が不安定になる
- → 回避策:レッスン・制作依頼・編曲・サポート演奏など、自分のスキルをお金に換える窓口を早めに用意する。
【結論】: インディーズで失敗しにくいのは、「今の自分の時間とお金の状況」に合った活動パターンを選ぶことです。
若いアーティストの中には、勢いだけで一番自由度の高い完全DIYを選び、途中で疲れ切ってしまうケースが多くあります。
逆に、少し不自由でもインディーズレーベル所属型を選んだ結果、制作に集中できて作品のクオリティが大きく上がった例もあります。
自由度の高さだけで選ぶのではなく、生活と性格に合うかどうかを基準にしてみてください。
よくある不安とQ&A:一歩踏み出す前に整理しておきたいこと
最後に、インディーズ活動を考え始めた人からよく届く質問をいくつか取り上げます。
Q1. インディーズで“中途半端”にやるくらいなら、やらない方がいいですか?
A. いいえ。生活を守りながら「ちょうどいい本気度」で続けることは、むしろ長期的には非常に賢い選択です。
インディーズ活動は、フルコミットかゼロかの二択ではありません。
むしろ、仕事とインディーズ活動を両立しながら、数年単位でじっくり積み上げるキャリアの方が続きやすいと感じています。
Q2. 家族やパートナーにどう説明すればいいか不安です。
A. 「全部音楽一本にしたい」という話ではなく、「生活は守りながら、いまより少し真剣にやりたい」という段階的なプランとして説明すると、理解されやすくなります。
- 生活費はこの収入で確保する
- 音楽には月にこのくらいの時間とお金を使う
- 1年後にこのくらいの成果を目指す
こうした具体的なプランを見せることで、「ただの夢物語」ではなく「計画された挑戦」として受け取ってもらえる可能性が高まります。
Q3. 30代からインディーズで動き出すのは遅いですか?
A. 年齢だけを理由に諦める必要はありません。ただし、体力と時間の配分には戦略が必要です。
30代以降のアーティストは、生活の責任が増える一方で、経験や人脈という強みも持っています。
インディーズ活動では、この経験と人脈を活かして、
- 無理のない活動本数
- 長く続けられる制作ペース
- 現実的な収支計画
を組んでいくことが非常に重要です。
Q4. メジャー志向とインディーズ志向、どちらかを最初に決めるべきですか?
A. 最初から一生の答えを決める必要はありません。今の自分に合うステージとしてインディーズを選び、状況に応じて選択をアップデートしていけば十分です。
インディーズで活動しながらメジャーへ移るアーティストもいれば、
メジャー契約を経験した後にインディーズへ戻るアーティストもいます。
重要なのは、「今の自分にとってどの選択が健康的か」という視点です。
まとめ:インディーズは“生き方を設計する選択肢”
ここまでのポイントを、最後に3つにまとめます。
- インディーズとは、プロかアマかではなく“どんな仕組みで活動するか”を示す言葉
- インディーズで生きるには、ストリーミングだけでなく複数の収入チャネルを組み合わせるポートフォリオ思考が必要
- インディーズ活動は、仕事や生活とのバランスを取りながら、自分に合うパターンを選んでいく「生き方の設計」に近い行為
インディーズを「夢か現実か」の二択で考えると、どうしても怖くなります。
しかし、インディーズを「生活と価値観に合う生き方を設計するための選択肢」として捉え直すと、見える景色が変わります。
今日できることと、次に読むと良い内容
今日できる小さな一歩:
- ノートやスマホに、
- 自分が理想とする1年後の音楽活動の姿
- 現実的に使えそうな時間とお金
- 気になっている活動パターン(A/B/C)
を3行だけ書き出してみてください。
- その3行を眺めながら、
「今の生活を守りながら、どこまでなら気持ちよく本気を出せるか」
を一度だけ、真面目に考えてみてください。
インディーズという言葉が、少しでも「ぼんやりした憧れ」から「具体的な選択肢」に変わっていたら、書き手としてそれ以上にうれしいことはありません。