「九相図ってそもそも何?」「呪胎九相図って怖すぎない?」「どこまでが元ネタなのかだけ知りたい」
そんな不安やモヤモヤを、ここで一度まるっと整理します。
このページでは、仏教美術としての「九相図」と、『呪術廻戦』に登場する「呪胎九相図」のつながりを、できるだけグロ表現を避けながら、ストーリーのテーマとからめて解説します。
※原作コミックス中盤以降の軽いネタバレを含みますが、細かい展開はぼかしています。
「九相図って結局なに?」をまずサクッと整理する
九相図は「死体の9段階」を描いた仏教絵画
仏教で「九相図(くそうず)」と呼ばれるものは、
人が亡くなってから、肉体が腐敗して骨になるまでを、9つの場面に分けて描いた絵(あるいは絵巻)
です。
この九相図は、「九相観(くそうかん)」という修行のために使われました。
九相観では、死体が朽ちていく具体的なイメージを観想(頭の中でイメージする瞑想)することで、
- 肉体への執着を手放す
- 「いつか必ず死ぬ」という無常観を自分ごととして受け止める
- 性欲や執着を静めて、心を落ち着ける
といったことを目指します。
九相図の「9段階」はこんなイメージ
各段階の名前や数え方には流派がありますが、多くの九相図ではだいたい次のような流れを描きます。
- 亡くなった直後の、まだきれいに見える遺体
- 体が少しずつ変色し、硬直していく状態
- 皮膚が膨らみ、体がふくらんでいく状態
- 皮膚が裂けたり、体液が出たりする状態
- さらに腐敗が進み、体の一部が崩れていく状態
- 動物や鳥に食べられて形が崩れていく状態
- ほとんど肉が落ちて残骸のようになる状態
- 骨だけが残る状態
- 骨も崩れ、最後には土に還っていく状態
かなりショッキングな内容ですが、目的は「怖がらせること」ではなく、無常を実感させることです。
呪術廻戦の「呪胎九相図」という名前のニュアンス
『呪術廻戦』に登場する「呪胎九相図」は、作品世界の中で
- 特級呪物として封印されていた存在
- 呪術師と呪霊の「あいのこ」のような、非常に危険な呪い
として説明されます。
作中で使われる「呪胎九相図」という名称は、
「九相図」+「呪胎(呪いの胎児)」という言葉を組み合わせた造語です。
名前の由来・元ネタとして、作者が仏教の九相図を意識していることは、複数の考察サイトでも指摘されています。
【結論】: 九相図はホラー目的の絵ではなく、「人は必ず死ぬ」という当たり前を、自分のこととして受け止めるための教材です。
なぜなら、九相図は仏僧に対して欲望を抑える修行の手助けとして使われ、現代でいう「死生観のトレーニング教材」に近い役割を持っていたからです。この視点を持つと、『呪術廻戦』の「呪胎九相図」も単なるグロ表現ではなく、「命・死・執着」というテーマを背負ったモチーフとして見やすくなります。
『呪術廻戦』の「呪胎九相図」と九相図の関係を、テーマから読み解く
共通点① 「変わり続ける肉体」と「変わり続けられない心」
九相図が描くのは、止められない肉体の変化です。
肉体はどんなに美しくても、時間が経てば必ず崩れていきます。
一方、『呪術廻戦』の呪胎九相図(脹相・壊相・血塗など)は、
- 生まれつき「人間として生きる」ことを許されなかった存在
- 生まれた時点で「呪い」として扱われた存在
として描かれます。
ここで重なってくるのが、「変わっていく肉体」と「変われない扱い」というテーマです。
- 九相図:姿が変わるほどに「不浄」「恐怖」として見られてしまう
- 呪胎九相図:姿や性質が「呪い」寄りであるせいで、人間として扱われない
この対比によって、『呪術廻戦』の世界では
「見た目や出自で決まってしまう運命」と、それにあらがう意志が強調されています。
共通点② 「死を見つめることで、生の重さが浮かび上がる」
九相図の本来の狙いは、
死体の変化を徹底的に見つめて、「いま生きている時間」を貴重なものとして自覚させる
ことです。
呪胎九相図のエピソードでは、
- 過去に行われた非人道的な実験
- 呪いとして生まれた兄弟が、それでも「兄弟としての絆」を持とうとする感情
- 呪術師たちの側にも、呪いを見る視点の変化が生まれていく過程
が描かれます。
この構図は、「死や呪いをただ排除すべきものと見るのか」「そこにあったはずの『生』まで見ようとするのか」という問いに直結します。
九相図と呪胎九相図を「怖い」から「理解できる」に変える見方
「ただグロい」の一歩先へ進むための視点
九相図も呪胎九相図も、どうしてもビジュアルのインパクトが先に立つモチーフです。
そのため、最初に触れたときに
- とにかくグロい
- なぜここまで描く必要があるのか分からない
- 苦手だけど話の意味は理解したい
と感じる読者も多くいます。
ここで役に立つのが、「歴史的な文脈」と「作品内での役割」を切り分けて見る視点です。
| 項目 | 仏教の九相図 | 呪術廻戦の呪胎九相図 |
|---|---|---|
| もともとの目的 | 肉体への執着を手放し、無常を悟るための修行用の図像 | 物語の中で、呪いと人間の境界を問い直すための設定・キャラクター |
| 表現の対象 | 現実の人の遺体の変化 | 架空世界の「呪い」として生まれた兄弟たち |
| メインテーマ | 死と無常、生への執着 | 出自によって決まってしまう運命と、そこに抗う意志 |
| 読み方のポイント | 怖さの奥にある「生きている今」の尊さを見る | グロさの裏で描かれる「家族・絆・選択」を意識する |
このように整理すると、
九相図と呪胎九相図を「ただ不快なモチーフ」として避けるのではなく、自分なりの距離感で理解する余地が生まれます。
苦手な人向けの、作品の楽しみ方の工夫
九相図や呪胎九相図の描写が苦手な読者向けに、以下のような見方の工夫もおすすめです。
- 詳細な描写が出るシーンは、あらすじで内容だけ把握して、絵やコマ割りをじっくり見ないようにする
- 九相図の歴史的な背景を軽く知ってから読むことで、「ただのホラー」ではなく「テーマの表現」として距離を置いて見る
- SNS上の画像をむやみに見ないで、必要なときだけ自分で検索する
こうした工夫によって、自分のメンタルを守りながら作品のテーマだけを受け取る読み方も可能になります。
「九相図 × 呪術廻戦」よくある質問(FAQ)
Q1. 九相図を見ることは、縁起が悪いことなのか?
A. 九相図は、もともと仏教の修行や教えの一環として描かれた絵です。
不吉な呪物ではなく、「死を通して生を考える教材」のような位置づけです。
Q2. 呪胎九相図の兄弟たちは、九相図の9段階と1対1で対応しているのか?
A. 呪胎九相図の兄弟たちは、「九相図の各段階」から名前やモチーフを取っていると考えられていますが、厳密な1対1対応というより、「死体の変化のイメージ」をベースにしたキャラクターデザインと捉えるのが自然です。
Q3. 九相図の知識がないと、呪胎九相図のエピソードは理解できないのか?
A. 物語の理解そのものには、九相図の専門知識は必須ではありません。
ただし、九相図の背景を知ることで、
- 呪胎九相図が「最初から呪いとして扱われる存在」として描かれる意味
- それでも兄弟の絆が強調される理由
といったテーマを、より深く味わえるメリットがあります。
Q4. 九相図を実際に見てみたいが、ショックを受けないか不安
A. 九相図はかなりショッキングな内容なので、体調やメンタルが安定しているときに、小さめの画像や解説付きのページから少しずつ慣れていく方法が安心です。
また、寺院の公開イベントでは、専門家の解説を聞きながら落ち着いて鑑賞できる機会もあります。
まとめ:九相図を知ると、呪胎九相図の「悲しさ」と「強さ」が鮮明になる
ここまでのポイントを整理します。
- 九相図は、死体の9段階を描いた仏教絵画で、「死と無常を見つめる修行用の図像」。
- 呪術廻戦の「呪胎九相図」は、この九相図から名前とモチーフを借りつつ、「呪いとして生まれた兄弟の悲劇と絆」を描くための装置になっている。
- どちらも「死」を見つめることで、「生きている今」の重さや、出自では決まらない尊厳を問いかけている。
九相図の背景を知ると、呪胎九相図の兄弟たちが背負っているものは、
ただの「グロいデザイン」ではなく、「生きてみたかった命」「家族になりたかった関係」だったのだと、より強く感じられます。
参考文献リスト
- 山本聡美「死を想い、今を生きる——九相図とは何か」東本願寺出版(WEBインタビュー)
- 「九相図の10番目!?仏教美術の妖しくも美しい死の絵画を解説」Ayaka Matsuo Art Column
- 「九相図~ああ、無常!!の響き」京の霊場 九相図解説ページ
- 「死体が朽ちていく様子を九段階に分けて描いた仏教絵画『九相図』」葬儀関連コラム
- 「【閲覧注意!】呪術廻戦『呪胎九相図』の元ネタは○○を描いた絵だ!」nihongastyle.com(考察記事)