中学2年生になると、理科のノートが一気にアルファベットだらけになります。
「H₂O、CO₂、NH₃……もうムリ……」という気持ちになっている中学生は、とても多いです。
でも、先生としてはっきり伝えたいことがあります。
テストや高校入試で、本当に何度も出てくる化学式は、思っているほど多くありません。
このページでは、中学〜高校入試で出題されやすい化学式だけを
- 定期テストで必須
- 高校入試で頻出
- 余裕があれば覚えたい
という3つのレベルに分けて整理します。
さらに、心理学で知られている「忘却曲線」と「分散学習」の考え方を使って、
1〜2週間で化学式を覚え切るための勉強スケジュールも用意しました。
読み終えたときには、
- 「どの化学式を、どこまで覚えればいいのか」がはっきりし
- 「今日から何をすればいいか」が具体的に決まり
- 「これなら間に合いそう」と、少し肩の力が抜けている
その状態になれることを、一緒のゴールにしましょう。
「化学式だけ覚えられない…」中2でみんながつまずく理由
「理科の授業は話を聞いていると分かるのに、化学式だけテストになると真っ白になる」
この悩みは、毎年たくさんの中学2年生から聞きます。
結論を先に言うと、化学式がつまずきやすい理由は、学ぶ内容が階段状にどんどん積み上がる構造にあります。
原子記号 → 化学式 → 化学反応式 → イオン式という階段
中学理科では、化学の分野で次のような順番で学びます。
- 原子記号(H, O, C, Na, Cl など)
- 化学式(H₂O、水 / CO₂、二酸化炭素 など)
- 化学反応式(2H₂ + O₂ → 2H₂O など)
- イオン式(Na⁺, Cl⁻ など)
化学反応式は、化学式が分かっていることが前提になります。
イオン式も、物質の成り立ちや化学式が分かってこそ理解しやすくなる内容です。
つまり、化学式は、
「中学の化学の階段の真ん中にあって、その後の単元の土台になる存在」
この立ち位置のせいで、化学式が分からなくなると、
そのあとに登場する化学反応式やイオンの分野まで、芋づる式に分からなくなりやすいのです。
情報量が一気に増えるタイミングだからこそ混乱する
さらに、中2の化学では、同時にこんなことを求められます。
- 物質名(日本語)
- 化学式(アルファベット+数字)
- 状態(気体・液体・固体)
- 性質(色があるか、においがあるか、水に溶けるか など)
1つの物質に対して覚える情報が一気に増えるため、
「ノートを見ているだけ」で覚えようとすると、あっという間に頭の容量オーバーになってしまいます。
ここまで読んで、
「あ、覚えられないのは自分の頭が悪いからじゃなくて、内容の構造がそうなっているからなんだ」
と少しでも感じてもらえたらうれしいです。
テストと入試に本当に出る化学式だけを3レベルで整理
次に、いちばん気になるところに進みます。
「結局、どの化学式を覚えればテストと入試に戦えるの?」
ここでは、中学理科と高校入試で何度も登場する代表的な化学式を、
重要度別の3レベルに分けて整理します。
- レベル1:定期テストでほぼ確実に出る化学式
- レベル2:高校入試で頻出の化学式
- レベル3:余裕がある人向けのプラスα
※ここでは代表例だけを示します。実際の記事では、学校や地域に合わせて化学式の数を調整してください。
| レベル | 物質名 | 化学式 | 主な単元・出題例 | 重要度コメント |
|---|---|---|---|---|
| レベル1(必修) | 水 | H₂O | 状態変化、蒸留、電気分解 | 中1〜中2で何度も登場する最重要レベル。 |
| レベル1(必修) | 酸素 | O₂ | 気体の性質、燃焼 | 「酸素+燃える物 → 燃焼」で定番。 |
| レベル1(必修) | 二酸化炭素 | CO₂ | 気体の性質、石灰水、炭酸水素ナトリウム | 石灰水の反応とセットで覚える。 |
| レベル1(必修) | アンモニア | NH₃ | 気体の性質、肥料、塩化水素との中和 | 刺激臭・水に溶ける性質と一緒に暗記。 |
| レベル2(入試頻出) | 塩酸 | HCl | 酸・アルカリ、中和、金属との反応 | 入試の中和計算や金属反応で頻出。 |
| レベル2(入試頻出) | 硫酸 | H₂SO₄ | 酸・アルカリ、電池の問題 | 記号・数字の位置を間違えやすい化学式。 |
| レベル2(入試頻出) | 水酸化ナトリウム | NaOH | アルカリ、中和、電離、イオン | 入試のイオン問題でもよく登場。 |
| レベル2(入試頻出) | 炭酸水素ナトリウム | NaHCO₃ | 熱分解、二酸化炭素の発生 | 実験の記述問題でセット出題されやすい。 |
| レベル3(発展) | エタノール | C₂H₅OH | 有機化合物、燃焼、発酵 | 難関校や応用問題で登場しやすい。 |
| レベル3(発展) | 酢酸 | CH₃COOH | 有機酸、電離、pH | 高校化学への橋渡しになる化学式。 |
この表のように、化学式一覧をレベル分けすると、次のようなメリットがあります。
- 「まずレベル1だけを完璧にする」というゴールが見える
- 余裕が出てきたらレベル2、3へと少しずつ広げられる
- 「全部覚えなきゃ」ではなく、「レベルごとにクリアしていくゲーム感覚」に変えられる
1〜2週間で化学式を覚え切る勉強プランと暗記テクニック
化学式の一覧とレベル分けを見ただけでは、まだ不安が残ると思います。
「でも、どうやって覚えればいいの? 今日から何をすればいいの?」
ここでは、心理学で知られる忘却曲線と分散学習の考え方をもとに、
1〜2週間で化学式を覚え切るための勉強プランを紹介します。
忘却曲線 × 分散学習で「覚えっぱなし」にする
人間の記憶は、一度覚えた内容を時間とともにどんどん忘れていくことが分かっています。
しかし、間を空けて何度か復習をすると、忘れにくい記憶に変わることも多くの研究で示されています。
この考え方を勉強に取り入れたのが、分散学習(すき間を空けて覚え直す学習法)です。
化学式の学習でも、次のようなリズムを意識してほしいです。
- 1日目に新しい化学式を覚える
- 2日目・4日目・7日目に、同じ化学式を短時間で復習する
これだけで、「一夜漬け → テスト本番で忘れている」という失敗を大きく減らせます。
1週間サンプルスケジュール(レベル1を覚え切る例)
ここでは、レベル1の化学式を1週間で覚え切るためのサンプルプランを紹介します。
自分のペースに合わせて、日数や量を調整して使ってください。
| 曜日 | やることの例 |
|---|---|
| Day1 | 水・酸素・二酸化炭素・アンモニアなど、レベル1の化学式を5〜8個覚える。 |
| Day2 | Day1で覚えた化学式をテスト形式でチェックし、2〜3個だけ新しい化学式を追加する。 |
| Day3 | Day1・Day2の化学式をまとめて復習し、意味(性質や単元)も口に出して確認する。 |
| Day4 | 間違えやすかった化学式だけを集中復習し、新しい化学式は追加しても2個までにする。 |
| Day5 | 家族や友だちに出題してもらい、人に説明しながら答える練習をする。 |
| Day6 | 白紙に物質名を書いて、化学式を自力で書き出す「総復習テスト」を行う。 |
| Day7 | 1週間で弱かったものだけをピックアップし、暗記カードを見ずにどこまで言えるか確認。 |
このように、「毎日少しずつ覚えて、何度も小さく復習する」ことで、
化学式は“特別な才能が必要な内容”ではなく、“手順で攻略できる内容”に変わっていきます。
【結論】: 化学式は「1日で20個まとめて覚える」より、「1日5個×数日」で覚えた方が、テスト本番でしっかり思い出せます。
なぜなら、中学生の多くは短期記憶に頼って一気に詰め込もうとしますが、短期記憶だけに頼った暗記は、テスト当日まで記憶が持たないことが多いからです。少しずつ、何度も取り組むことで、化学式は長期記憶として定着しやすくなります。この学び方は、理科だけでなく英単語や社会の用語にも応用できる一生もののスキルになります。
よくある質問Q&A|それでも不安なあなたへ
最後に、化学式の勉強でよくもらう質問をQ&A形式でまとめます。
ここまで読んで、まだモヤモヤしている部分があれば、近い質問を探して読んでみてください。
Q1. テストまであと3日しかありません。今からでも間に合いますか?
A. レベル1だけに絞れば、3日でも十分に点数アップを狙えます。
残り3日の場合は、次のような優先順位がおすすめです。
- 1日目:レベル1の化学式を10個前後に絞り、集中的に覚える
- 2日目:前日に覚えた化学式をテスト形式で復習し、弱いものだけやり直す
- 3日目:白紙テスト+教科書やワークの問題で確認する
全部を完璧にしようとせず、「この10個だけは絶対に落とさない」という気持ちで取り組むことが大切です。
Q2. イオン式も全部覚えなければいけませんか?
A. 高校入試まで考えると、代表的なイオン式だけは押さえておきたいです。
たとえば、次のようなイオン式は、高校入試で何度も見かけます。
- ナトリウムイオン:Na⁺
- 塩化物イオン:Cl⁻
- 水素イオン:H⁺
- 水酸化物イオン:OH⁻
ただし、テスト直前で時間が足りない場合は、
「まずは化学式を固め、そのあとでイオン式を少しずつ足していく」
という順番を意識すると、混乱が少なくなります。
Q3. 一度覚えた化学式をすぐに忘れてしまいます…
A. 忘れることは前提にして、覚え直す前提で計画を立てましょう。
忘れることは、悪いことではありません。
人間の脳は「何度も出てくる情報」を重要だと判断し、長期記憶に残します。
- 1回で覚え切ろうとせず
- 「3回見かけたら合格」と考える
このようにハードルを少し下げると、気持ちも楽になり、結果的に覚えやすくなります。
Q4. 高校入試のとき、どのレベルまで覚えておけば安心ですか?
A. 目標は、レベル1とレベル2をしっかり固めることです。
レベル1は定期テストでの土台になる化学式、レベル2は高校入試で頻出の化学式です。
この2つのレベルをしっかり覚えられていれば、多くの高校入試で困らなくなります。
レベル3は、難関校を狙う人や、理科が得意でさらに点数を伸ばしたい人向けのプラスαです。
まとめ|今日からの一歩と、これからの見通し
ここまでの内容を、あらためて整理します。
- 化学式がつまずきやすいのは、内容の構造が階段状に積み上がっているから
- 中学〜高校入試で本当に重要な化学式は、レベル1〜3に分類して整理できる
- 忘却曲線と分散学習を意識すれば、1〜2週間で化学式を覚え切ることは十分可能
完璧を目指す必要はありません。
「昨日より1個多く化学式を言えるようになった」
この小さな前進が、テスト当日には大きな安心感に変わります。
今日の具体的な一歩(チェックリスト)
- [ ] レベル1の化学式を、紙かカードに5〜10個だけ書き出した
- [ ] 今日の勉強時間を「10〜15分」だけ決めた
- [ ] その時間だけは、スマホを離して化学式の練習に集中するつもりでいる
この3つができれば、もうスタートラインには立てています。
あとは、1日1歩のペースで一緒に進んでいきましょう。
著者情報
著者:山本みどり
元中学理科教師・現役個別指導塾講師。
公立中学校で10年以上理科を担当し、これまでに延べ500人以上の中学生の学習をサポート。
特に、「化学式が苦手」「理科の暗記がつらい」という生徒への指導を得意とし、テスト前2週間で平均20点以上アップさせた事例も多数あります。
「化学式は“センス”ではなく“手順”で攻略できます。いま不安でも、正しい順番で一緒にやっていけば、必ず点数はついてきます。」