「『各位』って便利そうだけれど、送信ボタンを押す直前に毎回ドキッとしてしまう」。
人事・総務でビジネスメール研修をしている立場として、同じ経験を何度も見てきましたし、私自身も新人のころにまったく同じ不安を抱えていました。
結論からお伝えすると、「各位」という表現は、目上の相手が含まれていても使ってかまわない表現です。
ただし、「各位様」「皆様各位」などのNG表現を避けることと、社内・社外・チャットなどシーンごとに少しだけ表現を調整することが大切です。
この記事では、「各位」の意味やOK/NG表現だけでなく、
- 社内・社外・チャットのシーン別での使い分け
- そのまま使える一斉メールテンプレート
- 送信前に確認できるチェックリスト
までを一気にまとめていきます。
今日から「各位」を自信を持って使えるように、いっしょに整えていきましょう。
なぜ『各位』でこんなに迷うのか?まずは不安の正体を整理しよう
最初にお伝えしたいポイントは、「『各位』で迷うのは自分だけではない」という事実です。
ビジネスメール研修の現場では、毎年のように次のような質問が出ます。
- 「部長や役員も含まれるメールで『各位』は失礼ですか?」
- 「社外の取引先に『各位』だけを書くと、そっけなく感じられませんか?」
- 「チャットでも『各位』と書くべきでしょうか?」
このような不安が生まれる背景には、主に次の3つの理由があります。
- 目上への敬意をどこまで表現すべきか分かりにくいこと
- 社長・役員・取引先など、立場が異なる相手をまとめて呼ぶ場面が増えています。
- その結果、「一人ひとりに敬称をつけた方がよいのでは?」という迷いが生まれがちです。
- 日本語の敬称ルールが複雑で、“重ね敬語”を恐れてしまうこと
- 「各位様」「皆様各位」など、丁寧にしようとした結果、誤用になってしまう例がよくあります。
- 誤用を避けたい気持ちが強いため、余計に表現の選択に時間がかかります。
- メールだけでなくチャットや社内ポータルなど、チャネルが増えていること
- メールでは自然な表現でも、チャットでは堅く感じる場合があります。
- チャネルごとの「ちょうどよい距離感」が分かりにくくなっています。
【結論】: 『各位』で迷うときは、「対象」と「チャネル」の2軸だけを意識して考えると、悩む時間をぐっと減らせます。
なぜなら、ビジネスメール研修で話を聞く限り、多くの人は敬語の細かなルールよりも、「相手との距離感」と「社内か社外か」で迷っているからです。対象(社内だけ/社外も含む)とチャネル(メール/チャット)を分けて整理すると、判断が驚くほどシンプルになります。この視点が、日々の業務での時短と安心感の両方につながります。
これだけ覚えれば安心!『各位』の意味・OK/NG・シーン別の基本ルール
ここからは、「各位」をめぐる基本ルールを一気に整理します。
まずは、「各位」とよく並べて語られる表現との関係をハッキリさせておきましょう。
『各位』の本来の意味と『皆様』との違い
「各位」は、「お一人お一人」という意味を含む敬意のある呼びかけです。
複数の相手をまとめて呼ぶときに使う、比較的フォーマルな表現です。
一方で、「皆様」は、やや柔らかく口語的な響きがあります。
そのため、次のような使い分けが自然です。
- 文書・お知らせ・フォーマルなメール
- 「各位」
- 「お客様各位」「関係者各位」など
- 社内メール・チャット・少しくだけた場面
- 「皆様」「みなさま」「みなさん」など
「各位」と「皆様」は競合する関係ではなく、フォーマル度と場面によって使い分ける関係と考えると整理しやすくなります。
絶対に避けたいNG表現:「各位様」「皆様各位」など
丁寧にしようとするあまり、次のような表現を見かけることがあります。
- 「各位様」
- 「皆様各位」
- 「お客様各位様」
これらは、意味や敬称が重なってしまう重ね敬語・意味の重複表現にあたるため、避ける方が無難です。
📦 NG表現まとめボックス
- 誤: 各位様 → 正: 各位
- 「位」がすでに敬意を表すため、「様」を重ねる必要はありません。
- 誤: 皆様各位 → 正: 皆様 / 各位
- 「皆」と「各」がどちらも複数を指しており、意味が重複します。
- 誤: お客様各位様 → 正: お客様各位
- 「お客様」で敬称を含み、「各位」でも敬意を示しているため、「様」は不要です。
「各位」という表現そのものが十分に丁寧なため、さらなる敬称を重ねないことが安心のポイントです。
「お客様各位」「関係者各位」などの派生表現
続いて、「各位」を含む代表的な表現を整理します。
- お客様各位
- 顧客全体に向けたお知らせでよく使われる表現です。
- キャンペーンのご案内や、システムメンテナンスのお知らせなどに適しています。
- 関係者各位/関係各位
- プロジェクトやイベント、組織などに関わる人たち全体を指す表現です。
- 「関係者各位」と「関係各位」は、実務上はどちらも使われていますが、意味の違いはほとんどありません。
- 社員各位/従業員各位
- 社内全体に向けた情報共有や通知に使われます。
- 社員総会の案内、規程改定のお知らせなどに適しています。
このように、「各位」は「誰の各位なのか」を前に置くことで、対象をはっきり示せます。
今すぐ使える!一斉メール・社内通知・チャット別『各位』テンプレ&チェックリスト
ここからは、実際に使えるテンプレートとチェックリストをまとめていきます。
シーン別に「宛名」「書き出し」「注意点」を整理することで、毎回ゼロから悩む必要がなくなります。
社内だけに送る一斉メールのテンプレート
想定シーン:
- 同じ部署のメンバー全員
- 社員全体向けのお知らせ(取引先を含まない)
宛名の例
- 「営業部各位」
- 「社員各位」
メール全文テンプレート例
件名:営業会議の実施について
営業部各位
いつもお世話になっております。営業部の佐藤です。
下記の通り、来週営業会議を実施いたします。ご確認のうえ、ご予定の調整をお願いいたします。
(本文)
以上、よろしくお願いいたします。
署名
送信前チェックリスト(社内のみ)
- 宛名で「各位様」「皆様各位」などのNG表現になっていないか。
- 部署名や対象範囲が、受信するメンバーにとって自然かどうか。
- メール本文で、個人名に敬称(さん/様)をつける必要があるかどうかを確認したか。
上司も含む社内メールのテンプレート
想定シーン:
- 課長・部長・役員など上位職も含む
- プロジェクトメンバー全員への連絡
宛名の例
- 「プロジェクトメンバー各位」
- 「営業本部各位」
ポイントは、「上司が含まれていても『各位』のままで問題ない」という認識を持つことです。
かえって個人名を列挙して抜け漏れが発生すると、そちらの方が失礼になる場合があります。
送信前チェックリスト(上司を含む社内)
- 上司の職位に対して特別な呼称をつけたい場合、本文中で個別に敬称を補っているか。
- 宛名で必要以上に個人名を連ねていないか。
- 内容が、上司を含むメンバーすべてに関係する内容であるか。
取引先・顧客を含む社外メールのテンプレート
想定シーン:
- 複数の取引先を一括で案内するとき
- 顧客全体へメンテナンスや価格改定を知らせるとき
宛名の例
- 「お客様各位」
- 「取引先各位」
社外向けお知らせメール例
件名:システムメンテナンス実施のお知らせ
お客様各位
平素より○○サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
このたび、下記の日程でシステムメンテナンスを実施いたします。
ご利用中のお客様にはご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。(本文)
今後とも○○サービスをよろしくお願い申し上げます。
署名
送信前チェックリスト(社外)
- 「お客様各位様」「皆様各位」などの誤用になっていないか。
- BCCで送信する場合、本文の宛名で相手の立場が適切に表現されているか。
- 社名や個別の担当者名を明記した方がよい場合、本文や署名で補えているか。
ビジネスチャットで『各位』を使うかどうかの判断軸
ビジネスチャットでは、「各位」はやや堅く感じられることがあります。
チャットでは次のような表現も自然です。
- 「○○プロジェクトの皆さん」
- 「営業部のみなさま」
- 「関係者のみなさん」
一方で、チャットでもフォーマルなトーンを保ちたい場面(全社アナウンスなど)では「各位」を使うこともあります。
チャットでの判断軸
- 社内メンバーとの日常的なやりとり → 「皆さん」「みなさん」が自然
- 全社告知や重要な通知 → 「社員各位」も選択肢
- 取引先が参加するチャットルーム → メールに近いトーンで「皆様」「お客様」などを検討
シーン別の推奨表現を比較する
📊 比較表
表タイトル: シーン別『各位』『皆様』などの推奨表現一覧
| シーン | 宛名例 | 推奨表現 | 避けたい表現 | 一言メモ |
|---|---|---|---|---|
| 社内のみ(部署内・全社) | 営業部各位 / 社員各位 | 各位 | 各位様 / 皆様各位 | フォーマルな社内連絡には「各位」で問題ありません。 |
| 上司を含む社内メール | プロジェクトメンバー各位 | 各位 | 各位様 | 上司が含まれていても「各位」で失礼にはあたりません。 |
| 取引先・顧客を含む社外メール | お客様各位 / 取引先各位 | お客様各位 / 取引先各位 | お客様各位様 / 皆様各位 | 顧客や取引先には「お客様各位」「取引先各位」が安心です。 |
| ビジネスチャット(社内) | 営業部のみなさん / メンバー各位 | 皆さん / 皆さま / 場合により各位 | 各位様 | 日常的な連絡には「皆さん」、全社告知などは「各位」も可。 |
『各位』に関するよくある質問Q&A
ここからは、実際の現場でよく聞かれる質問をQ&A形式でまとめます。気になるものだけ拾い読みしても、不安をかなり解消できます。
Q1. 社長や役員も含まれるときに『各位』は失礼ですか?
A. 原則として失礼にはあたりません。
「各位」は複数の人に対する敬意を含む表現です。社長や役員が含まれていても、「社員各位」「関係者各位」として問題ありません。
ただし、特別に敬意を示したい場合は、本文中で「社長」「役員の皆様」などと個別に敬称を補う方法もあります。
Q2. 社外のメールで『皆様』は失礼になりますか?
A. 相手や文脈によりますが、ビジネス上の案内では「お客様各位」「取引先各位」がより無難です。
「皆様」は柔らかく、社内や親しい取引先とのやり取りで自然に使われています。
初めての取引先や公式なお知らせの場合は、「各位」を含む表現を選ぶ方が安心です。
Q3. BCCで複数の会社に一斉送信するとき、宛名はどう書けばよいですか?
A. BCC送信では宛先が見えないため、本文の宛名で対象を明確にします。
たとえば、サービスの利用企業に一斉案内を送る場合は、「お客様各位」と書くか、「○○サービスをご利用中の企業ご担当者各位」といった表現を用いると丁寧です。
Q4. ビジネスチャットで『各位』と書いたら堅いと言われました。何と書けばよいでしょうか?
A. 日常的な連絡には、「皆さん」「みなさま」の方が自然に感じられることが多いです。
特に、小規模なチームチャットでは「○○チームのみなさん」のように、チーム名+みなさんという形が柔らかくて好まれます。
一方で、チャットでも全社アナウンスなどフォーマルさが必要なケースでは「社員各位」が使われます。
Q5. 日本語の敬語に自信がなく、『各位』以外も毎回検索してしまいます。
A. すべての表現を完璧に覚える必要はありません。
「各位」とその周辺表現(お客様各位・関係者各位・皆様)だけでも、シーン別の基本ルールを押さえておけば、多くの場面に対応できます。
よく使う文面や宛名を自分のテンプレートとして保存し、そこから少しずつ調整するスタイルがおすすめです。
まとめ:『各位』を味方につけて、迷いなくメールを送ろう
ここまでの内容を、最後にコンパクトに整理します。
- 「各位」は、複数人に対する敬意ある呼びかけであり、社内・社外・目上の相手が含まれていても原則として失礼にはなりません。
- NG表現は「各位様」「皆様各位」「お客様各位様」などの重ね敬語・意味の重複表現です。
- 社内は「各位」、顧客向けは「お客様各位」、チャットでは「皆さん」が基本ラインと考えると、判断がシンプルになります。
- 一斉メールは、シーン別のテンプレートとチェックリストを用意しておくことで、毎回ゼロから悩む時間を大幅に減らせます。
「各位」の使い方は、一度整理してしまえば、明日からの一斉メールがぐっと楽になります。
最初はこの記事のテンプレートをそのまま使い、少しずつ自分の職場やチームの雰囲気に合わせて調整していくイメージで活用してみてください。