日本語の「〜以上」「〜を超える」を英語にするとき、多くの人がとりあえず more than を使います。
ただ、卒論やレポート、留学用エッセイなどの「きちんとした英語」になった途端、
- “more than 10” と “10以上” は本当に同じ?
- “at least 10” と何が違うの?
- “over 10” と more than の違いは?
と、地味だけどモヤっとするポイントが一気に噴き出します。
結論から言うと、
日本語の「以上/超える」は、たった2つの軸だけで整理できます。
- その数字を含めたいかどうか(≧か>か)
- フォーマル寄りか、カジュアル寄りか
この記事では、この2つの軸にもとづいて
- more than / over / at least / ○○ or more の使い分け
- 試験・人数・お金・時間など、シーン別の具体フレーズ
- 「more than happy」など、数字以外の 感情表現としての more than
まで 一気に整理 していきます。
なぜ「more than=以上」だけだと危ないのか?
まずは、よくあるシチュエーションからイメージしてみてください。
模試で 70 点を取り、「70点以上取りたい」と思って勉強してきた大学4年生が、
英語で「私はいつも70点以上を目標にしています」と書こうとして、
“I always aim for more than 70 points.” と書く。
日本語の感覚では何もおかしくありません。
でも、英語として読むと “70点を超える点数” というニュアンスになり、
70点ちょうどは含まない可能性 が出てきます。
同じように、
- 「10人以上参加」→ more than 10 people
- 「3時間以上かかった」→ more than three hours
このような表現も、厳密には「10人を超える人数」「3時間を超える時間」 というイメージになります。
「以上」と「超える」は、英語では別れている
日本語では「以上」「超える」をゆるく使い分けることが多いですが、
英語ではこのニュアンスが きっちり分かれやすい です。
- more than / over X
- 「Xを超えている(Xは含まないイメージ)」
- at least X / X or more
- 「Xを含めて、それ以上(≧)」
そのため、日本語の「以上」を何でも more than にしてしまうと、
- データの報告
- 研究結果の説明
- 条件の指定
のような場面では、読み手にとって微妙な違和感や誤解 を生みます。
【結論】: 日本語の「以上」を機械的に more than で訳す癖を、一度リセットしてください。
なぜなら、日本語では「以上」と「超える」をあいまいに使い分けますが、英語では数式の>と≧の違いに近い感覚で読み取られるからです。この感覚を一度意識できると、卒論やレポートでの表現の精度が一段階上がります。

日本語の「以上/超える」を4つの英語表現にマッピングする
ここからがこの記事の 核 です。
判断の軸はたった2つ
- 数字を含めたいかどうか
- 場面がフォーマルか、カジュアルか
この2つを決めてしまえば、
more than / over / at least / X or more のどれを使うべきか、ほぼ自動的に決まります。
「数字を含めない」か「含める」か
まずは「数字を含めるかどうか」だけで整理します。
- more than X / over X
- 「Xを超える」→ 数学記号で言うと X > のイメージ
- 例:more than 10 people(10人を超える人数)
- at least X / X or more
- 「Xを含めて、それ以上」→ X ≧ のイメージ
- 例:at least 10 people(10人以上の人数)
「フォーマル度」でさらに整理する
感覚としては、次のようにイメージすると使いやすくなります。
- more than X
- ややフォーマル寄りでも問題なく使える
- over X
- 会話では非常によく使う。書き言葉でも使われるが、カジュアル寄りの印象が少し強い場面もある
- at least X / X or more
- 条件や基準をはっきりさせたいときに便利(募集要項、説明文、レポートなど)

試験・人数・お金・時間……シーン別フレーズ集とNG例
ここからは、実際の場面ごとの 具体フレーズ と NG訳 を見ていきます。
| 日本語 | NG訳 | OK訳 | ニュアンス解説 |
|---|---|---|---|
| 70点以上を目標にしています。 | I always aim for more than 70 points. | I always aim for at least 70 points. | 「70点も含めて、それ以上」という意味なので at least が自然。more than は「70を超える点数」のイメージ。 |
| 参加者は10人以上です。 | There are more than 10 people. | There are at least 10 people. / There are 10 people or more. | 正確な下限を言いたいなら「10を含む≧」が適切。募集要項や報告書では at least / X or more が安心。 |
| 売上が100万円以上になりました。 | Sales reached more than one million yen. | Sales reached at least one million yen. / Sales reached one million yen or more. | 決算や報告書では下限値を含めるニュアンスが重要なので at least / or more を優先。 |
| 3時間以上かかりました。 | It took more than three hours. | It took more than three hours. / It took at least three hours. | 会話では more than three hours でOK。時間を「最低でも3時間」と強調したいなら at least three hours。 |
| 18歳以上の方が対象です。 | People more than 18 years old can apply. | People at least 18 years old can apply. / People 18 years old or older can apply. | 「18歳を含める」条件なので at least / or older が自然。more than 18 は「18歳を超える」 → 19歳以上。 |
| 30人未満のクラスです。 | It is a class with less than 30 students. | It is a class with fewer than 30 students. | 「未満」は less than / fewer than。人数は数えられるので fewer than がより正確。 |
| 多くても20人まで参加できます。 | Up to 20 people can participate at most. | No more than 20 people can participate. / At most 20 people can participate. | 上限条件をはっきりさせたいときは no more than / at most を使う。 |
【結論】: 条件や募集要項・説明文では、まず「基準値を含めるかどうか」を判断してから表現を選んでください。
なぜなら、「18歳以上」「70点以上」といった条件は、読み手にとって非常に重要な情報であり、少しのニュアンスの違いが誤解やトラブルの原因になりやすいからです。特に年齢・点数・人数は、at least / or more / or older を優先すると安全です。
「more than happy」のような感情表現と、よくある質問Q&A
感情・程度の more than
ここまで読んで、「more than=比較級=数字」というイメージが強くなったかもしれません。
ただ、英語では 感情や程度 にも more than がよく使われます。
- I’d be more than happy to help you.
→ 「喜んでお手伝いします。」(直訳すると「うれしいなんてもんじゃないくらい」) - You’re more than welcome to join us.
→ 「ぜひ参加してください。」(「歓迎どころではないくらい歓迎」) - This is more than enough.
→ 「これでもう十分すぎるくらいです。」
どれも、「普通レベル」をさらにグッと超えている イメージです。
数字ではなく、気持ちの強さ や 程度 を表す比較になっています。
留学先の先生やホストファミリーとのメールでは、
これらの表現は 丁寧でポジティブな定番フレーズ です。
I’d be more than happy to answer any questions you may have.
→ 「ご質問があれば、喜んでお答えします。」
といった形で、メールの締めにもよく使われます。
よくある質問 Q&A
Q1. more than と over は完全に言い換えできますか?
多くの場面では言い換えが可能ですが、ニュアンスや使われ方に違いがあります。
- 数字・数量:
- more than 10 years / over 10 years → どちらも自然
- 物理的な「〜の上」:
- The picture is over the sofa.(ソファの上に絵がある)
- The plane is flying over the city.
- ※ここは more than に置き換えできません。
また、フォーマルな文章では more than を好むスタイルガイドもあります。
一方でニュース記事や会話では over が頻繁に使われます。
Q2. 数学の不等号(>/≧)と同じ感覚で考えても大丈夫ですか?
おおまかな理解としては役に立ちます。
- more than / over X → X >
- at least X / X or more → X ≧
- less than / fewer than X → X 未満(<)
- no more than / at most X → 「高くてもXまで」
ただし、日常会話ではそこまで厳密に意識されないこともあります。
論文・レポート・条件の説明のときだけは、意識して使い分ける のが安心です。
Q3. 論文や卒論では、どの表現を優先した方がよいですか?
論文・卒論のようなフォーマルな文章では、次のような方針がおすすめです。
- at least X / X or more
- 基準値を含める「以上」を書きたいときの第一候補
- more than X
- 「超える」ことをはっきり示したいときに使用
- over X
- 会話やニュース記事ではよく使うが、極端なこだわりがなければ more than が無難
まとめ
最後に、ポイントを一度だけ整理します。
- 日本語の「以上/超える」は、
- 数字を含めたいかどうか(≧か>か)
- フォーマルかカジュアルか
の2軸で考えるとブレません。
- 「〜以上」の多くは、at least X / X or more の方が安全です。
- 「〜を超える」と強調したい場面では、more than X / over X がしっくりきます。
- 「more than happy」のような表現は、数字ではなく 気持ちのレベル を盛った言い方です。
✅ チェックリスト:自分の英文を見直すときの3ステップ
- 日本語の元の文で、「その数字を含めたいかどうか」をはっきりさせる。
- 含めたいなら at least / X or more、含めたくないなら more than / over を候補にする。
- 文脈がフォーマル寄りなら more than / at least を優先する。
いま手元にある英作文、卒論のドラフト、プレゼン資料の中から、
「〜以上/〜を超える」と言いたい文を1つだけ選んでください。
その1文を、
- more than / over / at least / X or more のどれで書いているか確認し、
- この記事のチェックリストに当てはめて 本当にその表現が合っているか 見直してみてください。
1文でも「自分で納得して直せた」という感覚が持てると、
その成功体験が次の英文に必ず生きてきます。