はじめまして。助産師の山本あかりです。
「おくるみって本当に必要?」「足をきつく巻いたらよくないって聞くけど、どこまでOK?」と悩むママ・パパはとても多いです。
この記事では、
- 赤ちゃんの体にやさしい“安全なおくるみ”の考え方
- 写真なしでもわかる 5ステップの巻き方
- おくるみを やめるタイミングの目安
- バスタオル・スワドル・スリーパーなどの 使い分け
まで、ひととおり整理していきます。
なぜおくるみを巻くのか?メリットと注意点を整理する
このセクションの目的
- 「そもそもおくるみって必要?」というモヤモヤを整理する
- メリットとリスクの両方を知り、「使う/使わない」を自分で選べるようになる
おくるみの主なメリット
赤ちゃんにとって、おくるみは「お腹の中の環境に少し近い状態」をつくる道具です。
- モロー反射でびくっと起きにくくなる
- 手足が急にビクッと動く「モロー反射」で目が覚めてしまう赤ちゃんに、おくるみで腕をほどよく固定すると眠りやすくなります。
- 抱っこ→ベッドへの移動がスムーズになる
- おくるみで体が一体化していると、腕からベッドへ下ろす時の「ひんやり」「ぐらぐら」の刺激が少なくなり、起きにくくなります。
- 落ち着きやすくなる赤ちゃんもいる
- 「きゅっと包まれている安心感」で、ぐずりが落ち着く赤ちゃんもいます。
一方で、おくるみには “やり方を間違えるとリスクになる” という側面があります。
おくるみで必ず守りたい安全ルール
代表的なポイントは次の3つです。
- 仰向けで寝かせることを徹底する
- アメリカ小児科学会(AAP)は、おくるみの有無に関わらず「すべての睡眠で赤ちゃんを仰向けに寝かせること」を推奨しています。
- うつ伏せや横向きは、SIDS(乳幼児突然死症候群)や窒息のリスクが高くなるため避けます。
- きつすぎない・ゆるすぎない胸まわり
- 胸の部分は、大人の手のひらが1枚入るくらいの余裕を目安にします。
- これよりきついと呼吸がしづらくなり、ゆるすぎると布が顔にかかる危険があります。
- 足は“自由に動ける”スペースを確保する
- 国際股関節異形成協会(IHDI)は「股関節は軽く曲がって開ける状態で、おくるみの中でも足が動かせること」を推奨しています。
- 足をまっすぐに伸ばしてピンと固定する巻き方は、股関節脱臼や股関節形成不全のリスクを高める可能性があります。
ポイント
おくるみは「よく眠らせる魔法」ではなく、“安全を守ったうえで、少し眠りやすくしてあげるサポートアイテム” と考えるとイメージしやすくなります。
【結論】: おくるみを使うか迷うときは、「よく寝るかどうか」よりも「安全に巻ける自信があるかどうか」で判断してください。
なぜなら、助産師として多くのご家庭を見てきて、おくるみが合わない赤ちゃんも一定数いるからです。うまく巻けずに毎回ほどけてしまう場合や、赤ちゃんが明らかに嫌がる場合は、無理に続ける必要はありません。赤ちゃんとママ・パパの両方がラクになれる方法を選ぶことが、一番の正解です。
安全で“股関節にやさしい”おくるみの5ステップ
このセクションの目的
- 初めてのママ・パパでも、今日から同じ手順で巻けるようになる
- 足に負担をかけない「股関節にやさしい巻き方」を身につける
ここでは、大判ガーゼやおくるみブランケットを使った 基本の巻き方(ダイヤ型) を紹介します。
事前準備
- おくるみブランケット(目安:100cm × 100cm 前後)
- 赤ちゃんは、薄手の肌着または短肌着+コンビ肌着など
- 室温:だいたい 20〜22℃前後 が目安(季節や地域によって調整)
5ステップ:股関節にやさしい基本の巻き方
STEP1:おくるみを“ひし形”に広げて上の角を折る
- おくるみを床やベッドに広げ、ひし形(ダイヤ)の向きに置きます。
- 上の角を 10〜20cmほど内側に折り返し、赤ちゃんの肩がちょうど折り目の辺りにくるようにイメージします。
STEP2:赤ちゃんを中央に寝かせる
- 赤ちゃんを仰向けにして、おくるみの中央に寝かせます。
- 折り返した上の辺が 赤ちゃんの肩〜首のあたり にくる位置が目安です。
- 足は、自然に曲がった「カエル足」のままにします。
STEP3:片方の腕を下ろして、反対側の角を斜め下に巻く
- まず右腕を体の横にそっと添えます(赤ちゃんの好みで胸の前で軽く曲げておいてもOK)。
- 左上の角を、右肩の上を通して赤ちゃんの体に巻きつけ、そのまま 背中側〜右腰の下あたり に差し込むように入れます。
- このとき、胸まわりは指1〜2本が入る余裕を残します。
STEP4:下側の角を持ち上げて“足にゆとり”をつくる
- 下の角をつかんで、赤ちゃんの足元からお腹の方に持ち上げます。
- ひざが中で自由に曲げ伸ばしできるように、足先にたるみ(ポケット)を残すのがポイントです。
- 持ち上げた布の端は、胸のあたりに軽くかぶせるか、逆サイドの体の横に挟み込みます。
STEP5:残りの角を巻いて固定する
- 空いているほうの腕を体の横におろしたら、残っている角(右上)を体全体にかぶせます。
- 体の向こう側までしっかり引っぱり、背中側〜お尻のあたりに差し込んで固定します。
- 最後にもう一度、胸と足の動きやすさをチェックします。
安全チェックリスト(巻いた後に必ず確認)
- 赤ちゃんは 仰向け で寝ている
- 胸に大人の指が 1〜2本 入るゆとりがある
- 布が顔にかかっていない
- 腰から下は、外から触っても 膝が曲がるスペース がある
- 赤ちゃんがずっと苦しそうに唸っていない
バスタオル・スワドル・スリーパーの比較とよくある失敗
このセクションの目的
- 家にあるもの・購入予定のものを どう使い分ければいいか を明確にする
- よくある失敗パターンを先に知り、トラブルを防ぐ
よく使われる3タイプの違い
| アイテム | 特徴・メリット | 注意点・デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| バスタオル・ガーゼ | 家にあるもので代用できる/サイズを調整しやすい | 厚手のタオルは暑くなりやすい/ほどけやすいと顔にかかるリスクがある | まず試してみたいとき/短時間の寝かしつけに使いたいとき |
| おくるみ専用スワドル | マジックテープやファスナーで巻きやすい/一定のフィット感を保ちやすい | サイズ選びを間違えるときつすぎ・ゆるすぎになりやすい/季節によっては暑く感じることも | 巻くのが苦手なママ・パパ/夜間も安定して使いたいとき |
| スリーパー・着る布団 | おくるみを卒業したあとも使える/足が動かしやすい | モロー反射での「びくっ」とした動きにはあまり効果がない | おくるみ卒業後の寝冷え対策/寝返りが始まった赤ちゃん |
おくるみで陥りがちな失敗パターンと回避策
- 失敗パターン:足をまっすぐ伸ばしてピンピンに固定してしまう
- 股関節への負担が大きくなり、股関節形成不全のリスクが高まる可能性があります。
- 回避策: ひざと股関節が自然に曲がり、M字(カエル足)を保てるように「足元ポケット」を必ず残します。
- 失敗パターン:胸まわりがギュッと締まりすぎている
- 呼吸が浅くなり、苦しそうに唸ったり顔色が悪くなったりすることがあります。
- 回避策: 巻いたあとに、必ず 指1〜2本の余裕 をチェックします。
- 失敗パターン:ゆるく巻きすぎて途中でほどける
- 布が顔にかかり、窒息のリスクが高まります。
- 回避策: 巻き終わりの布は、背中側までしっかり送り込んで固定 します。ほどけやすい素材の場合は、専用スワドルの併用も選択肢になります。
- 失敗パターン:寝返りのサインが出てもおくるみを続ける
- AAPは「寝返りをしようとするサインが出たら、おくるみをやめる」ことを推奨しています。
- 回避策: 「うつ伏せになろうと体をひねる」「横向きでじっとする」などの様子が出てきたら、スリーパーや着る布団に切り替えます。
おくるみに関するよくある質問(FAQ)
Q1. おくるみはいつからいつまで使っていいですか?
- 一般的には 生後0〜3か月ごろ に使うケースが多いです。
- 寝返りをしようとするサインが出たら(多くは3〜4か月ごろですが、それより早い赤ちゃんもいます)、安全のためにおくるみは卒業 します。
Q2. 夏でもおくるみを使って大丈夫ですか?
- 室温が高い中で厚手のおくるみを使うと、暑くなりすぎるリスク(熱中症・脱水) があります。
- 夏場は、
- 通気性の良い 薄手ガーゼ
- クーラーで室温を調整したうえでの使用
を意識し、汗や背中の熱さをこまめにチェックします。
Q3. 赤ちゃんが嫌がって泣くときも、続けたほうがいいですか?
- おくるみが合う赤ちゃんもいれば、どうしても窮屈さを嫌がる赤ちゃん もいます。
- 強く反り返ったり、巻いた瞬間から激しく泣く場合は、
- 腕だけをゆるく包む
- 片腕だけ出してみる
- 完全におくるみをやめて、スリーパーや肌着+掛け布団に切り替える
など、赤ちゃんの様子を見ながら調整すると安心です。
Q4. おくるみはSIDS予防になりますか?
- 現時点では、おくるみ自体がSIDSを減らすという明確なエビデンスはありません。
- AAPやCDCは、SIDSリスクを下げるために
- 仰向けで寝かせること
- 固く平らな寝具を使うこと
- 寝床に枕やぬいぐるみ、緩い布を置かないこと
などを強く推奨しています。
まとめ:完璧を目指さず「安全7割+赤ちゃんの心地よさ3割」で
最後に大事なポイントをもう一度まとめます。
- おくるみは、「よく眠らせるため」よりも “安心感を少しプラスするための道具” と考える
- 仰向け・胸の適度なゆとり・足の自由 の3つを守ることが、安全なおくるみの大前提
- 巻き方は、毎回同じ 5ステップのルーティン にしてしまうと、ママ・パパも迷わず巻ける
- 寝返りのサインが出たら、迷わず スリーパーなどに切り替えて卒業 する
- 赤ちゃんが明らかに嫌がるときは、「うちの子はおくるみ卒業タイプかも」と考え、無理をしない
おくるみは「やらなきゃいけない育児」ではありません。
ママ・パパと赤ちゃんが、少しでも心地よく夜を過ごすための選択肢のひとつ です。
「安全に巻けるイメージがついたら、ちょっとだけやってみる」
「うちの子には合わないなと思ったら、きっぱりやめる」
どちらを選んでも、あなたの育児はまちがっていません。