「プロポーザルって、結局どういう意味ですか?」という質問は、提案書づくりの現場で何度も聞きます。プロポーザルという言葉は、**英語の“proposal(提案)”**としても、**入札・委託の“プロポーザル方式”**としても使われるため、意味が混線しやすいからです。
この記事では、プロポーザルの意味を3分で確定し、さらに公募型プロポーザルに初参加する人が提案書に着手できるところまでつなげます。
[著者情報]田中 恒一 / 公共調達・提案書コンサルタント
自治体・外郭団体の公募型プロポーザル案件について、評価基準の読み解きと提案書設計を支援。初参加の事業者が「何を書けば評価されるか」を短時間で整理できるよう、テンプレート化して伴走する。
プロポーザルで混乱する理由は「意味が2つある」
結論として、**プロポーザルは“同じカタカナでも指しているものが違う”**ため混乱します。
会議で「プロポーザルを出してください」と言われた時、その場の文脈はだいたい次のどちらかです。
- 英語のproposal(提案):相手に「こうしませんか」と提案する行為そのもの
- プロポーザル方式(選定手続):委託先を選ぶ時に、価格より提案内容(企画力・体制など)を評価するやり方
英語としての proposal は、一般に「計画・提案」を意味します。Cambridge Dictionaryでも、proposalは“提案”として説明されています。
一方で、自治体や官公庁の委託業務では、**「プロポーザル方式」という“仕組み”**として語られます。江東区の手引でも、企画提案内容を評価して受託候補者を選定する趣旨が整理されています。
「英語の提案」なのか「選定方式」なのかを、文章の主語で判定すると混乱が止まります。
なぜなら、「プロポーザルを提出する」は成果物(提案書)寄りで、「プロポーザル方式で発注する」は手続(方式)寄りだからです。この切り分けだけで、調べるべき情報が一気に絞れます。
プロポーザル方式は“価格より提案内容”で選ぶ仕組み
プロポーザル方式は、価格だけでは測れない業務(企画・運用・専門性が重要な業務)で、提案内容を評価して受託候補者を選ぶ手続として運用されます。
なぜ「価格だけ」ではなくなるのか
例えば「住民向けアプリの運用」「観光プロモーション」「調査研究」「研修運営」のような業務は、同じ金額でも成果が大きく変わります。そこで、提案内容(実現性・体制・過去実績・運用設計など)を点数化して比較する発想が生まれます。
この考え方は、行政の説明資料でも「提案を評価する」枠組みとして整理されています。

コンペ・入札との違いと、提案書の“骨組みテンプレ”
1) 「プロポーザル方式」「コンペ」「一般競争入札」の違い
結論として、違いは何を主に評価するかです。福島県の手引では、プロポーザルや企画競争の整理が行政実務の用語として示されています。
| 方式/呼び方 | 主に評価されやすい対象 | 向いている業務 | 参加側が準備すべき成果物 |
|---|---|---|---|
| 一般競争入札 | 価格(最低価格)+最低限の要件 | 仕様が固い物品購入、定型業務 | 見積、資格書類 |
| コンペ(企画競争) | アイデア・作品・企画案の魅力 | クリエイティブ寄りの企画、デザイン | 企画案、作品、プレゼン |
| プロポーザル方式 | 企画+実現体制+運用設計+実績 | 運用・実装・専門性が成果を左右 | 企画提案書、実施体制、見積内訳 |
補足として、民間解説でも「コンペとの差」「入札との差」が整理されていますが、提案書の判断は行政の要領で最終確認するのが安全です。
2) 公募型プロポーザルの提案書は「4ブロック」で組み立てる
結論として、初参加の提案書は評価される項目に合わせて“骨組み”を固定すると迷いが減ります。
提案書の骨組みは、次の4ブロックにすると運用しやすいです。
- 目的適合(何を、なぜ):業務目的の理解/ゴール定義/KPI案
- 実現性(どうやって):実施手順/スケジュール/リスクと対策
- 体制(誰がやる):役割分担/責任者/再委託の有無/品質管理
- 費用妥当性(いくらで):見積根拠/内訳/コスト最適化の説明
この4ブロックは、行政側が「提案内容と体制」を評価する設計と相性が良いです。
提案書は「自由作文」ではなく、評価項目の翻訳作業として扱うと勝率が上がります。
なぜなら、評価委員会は“読みたい順番(評価表)”で読もうとするため、提案書の見出しが評価項目とズレるほど加点されにくいからです。提案書の大見出しを評価項目に合わせるだけで、内容の伝達効率が跳ね上がります。
FAQ
Q1. 「プロポーザル」は日本語で何と言う?
英語の proposal は一般に「提案」「計画案」と訳されます。
調達文脈の「プロポーザル方式」は「企画提案方式」と呼ばれることもあり、自治体文書では説明とセットで記載されることが多いです。
Q2. 「公募型プロポーザル」とは何?
公募型プロポーザルは、参加者を広く募り、提案内容を評価して受託候補者を選ぶ運用です。
Q3. 「コンペ」と「プロポーザル」は同じ?
同じ扱いにされる場面もありますが、実務では「評価対象(アイデア中心か、体制・運用まで含むか)」がズレやすいので、募集要項の評価観点で見分けるのが確実です。
Q4. 「プロポーザルを出す」は英語として正しい?
会話として通じることはありますが、英語の proposal は「提案(名詞)」なので、英語メールでは “submit a proposal” のように動詞とセットで書くのが自然です(用法確認は辞書で行うのが安全)。
まとめ
- プロポーザル(proposal)は“提案”が原義で、まず言葉の核はシンプルです。
- プロポーザル方式は“価格だけでなく提案内容で選ぶ”選定手続として行政実務で整理されています。
- 初参加の提案書は「目的適合→実現性→体制→費用妥当性」の骨組みに固定すると、評価項目に当てはめやすくなります。
CTA: 公募要項(評価項目)を開き、提案書の大見出しを「評価項目と同じ言葉」に置き換えてください。提案書の骨組みが決まった瞬間に、作業が“作文”から“埋める作業”に変わります。