[著者情報]佐々木 里奈(データ集計担当/元・個別指導塾講師)
社内レポートの数値設計とExcel集計を担当。学習者向けの「つまずきポイント分解」を得意とし、丸め規則(四捨五入・偶数丸めなど)の統一運用を設計してきました。
レポートの数値が合わないと、手が止まります。
「四捨五入は小学校で習ったはずなのに、Excelで計算すると微妙にズレる」——その不安は、計算力の問題ではなく**“丸め規則が複数ある”**ことが原因です。
この記事では、四捨五入を30秒の手順で迷いなく実行できる形にしつつ、0.5・負の数・Excel/規格の違いまで、仕事で説明できる状態へ整理します。
四捨五入とは何か?まずは“手順”だけ覚える
四捨五入とは、数の一部(端数)を処理して、指定した位(桁)までの値に丸める操作です。
四捨五入の手順は、実はこれだけです。
四捨五入の30秒手順
- 残したい位(桁)を決める(例:小数第1位まで残す)
- 残したい位の“次の位”を見る(例:小数第2位を見る)
- 次の位が 0〜4なら切り捨て、5〜9なら切り上げする(学習でよく使う規則)
- 残さない部分は削る(小数)/0にする(整数の位を丸めるとき)
例:3.14159を小数第2位で四捨五入する
- 残す位:小数第2位 → 3.14
- 次の位:小数第3位は「1」
- 「1」は0〜4なので切り捨て → 3.14
【結論】: 四捨五入は「残したい位の次の位を見る」だけで迷子が止まります。
なぜなら、四捨五入の迷いは「どの桁を見るか」が曖昧なときに発生しやすく、手順を固定すると判断が機械的になるからです。数値報告の現場では、四捨五入そのものより「見る桁がズレた集計ミス」のほうが頻出です。
0.5で結果がズレる理由は“丸め規則が複数ある”から
四捨五入は「5以上は切り上げ」と覚えられがちですが、0.5(ちょうど半分)だけは別ルールが採用される場面があります。
「0.5(midpoint)」とは何か?
0.5(midpoint)とは、丸め先の2つの候補のちょうど真ん中に位置する値です。
例として「3.75を小数第1位に丸める」場合、候補は「3.7」と「3.8」で、3.75は真ん中になります。
0.5の代表的な丸め規則(2つ)
Microsoft Learnは、midpointの代表として次の2方式を整理しています。
- AwayFromZero(0から遠ざける):
3.75→3.8、-3.75→-3.8(0から離れる方向へ丸める) - ToEven(最も近い偶数へ寄せる/偶数丸め):
3.75→3.8、3.85→3.8(“偶数側”へ寄せて偏りを減らす)
なぜ偶数丸め(ToEven)が存在するのか?
0.5を常に切り上げると、midpointが片側へ寄るため、集計結果がわずかに上振れしやすくなります。
Microsoft Learnは、ToEvenが偏りを減らす理由と、一定方向へ丸め続けたときに平均がズレる例を説明しています。
さらにExcelのROUNDが学校式(0.5以上は切り上げ)である点と、その偏りが問題になり得る点も解説されています。

仕事で困らない実践:Excel・負の数・よくあるミスを一気に回収
ExcelのROUNDで起きる“ズレ”の正体
ExcelのROUNDは、学校で習う「0.5以上は切り上げ」型として説明されています。
そのため、midpointが含まれる大量データでは、平均や合計がわずかに上振れする可能性があります。
負の数で混乱するポイント(切り上げ・切り捨て)
負の数で混乱する理由は、「大きい/小さい」と「0から遠い/近い」が直感とズレやすいからです。
Microsoft Learnは、AwayFromZeroが「0から遠ざける」方式である点を具体例で示しています。
- -3.75を小数第1位へ丸める(AwayFromZero) → -3.8
- -3.75を小数第1位へ丸める(ToEven) → -3.8(偶数側の-3.8へ)
まず押さえるべき“確認チェックリスト”
- 資料・社内ルールに「0.5の扱い」が明記されているか
- Excel集計でmidpointが多いデータか(例:0.05刻みの料金、評価点、歩留まり)
- 統計・金融で偏りを避けたいなら、偶数丸め(ToEven)の採用有無を確認
| 方式 | 0.5(midpoint)の扱い | 例:3.75→小数第1位 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 学校で習う四捨五入 | 0.5以上は切り上げ | 3.8 | 学習、日常の概算 |
| Excel ROUND(解説上) | 学校式と同様に0.5以上切り上げ | 3.8 | Excelでの一般的集計(ただしmidpoint偏りに注意) |
| 偶数丸め(ToEven) | 最も近い偶数へ寄せる | 3.8(3.85も3.8) | 統計・金融・大量集計で偏りを抑えたいとき |
FAQ
四捨五入と切り上げは何が違う?
四捨五入は「次の位が0〜4なら切り捨て、5〜9なら切り上げ」という条件付きの丸めです。
切り上げは、条件に関係なく「上の値」へ寄せる操作(天井関数・Ceilingのイメージ)です。
「小数第n位で四捨五入」はどこを見る?
「小数第n位で四捨五入」は、小数第n位を残して、小数第n+1位を見るという意味です。
例として「小数第2位で四捨五入」は小数第3位を見ます。
0.5の扱いは、どれが正しい?
0.5の扱いは「正解が1つ」ではなく、規則の選択です。
ToEvenやAwayFromZeroなど方式が併存し、公式ドキュメントでも区別されます。
業務では「社内基準」や「提出先の規定」を優先してください。
Excelの結果と手計算がズレたら何を疑う?
最初に疑うべきは、0.5(midpoint)が含まれるかと、採用されている丸め規則です。
Excel ROUNDが学校式である点と、その偏りが論点になる点が解説されています。
まとめ:四捨五入は“手順”+“0.5の規則確認”で完成する
- 四捨五入は「残したい位の次の位を見る」手順で整理できる
- 0.5(midpoint)の扱いは複数あり、ToEvenやAwayFromZeroのように方式が分かれる
- ExcelのROUNDは学校式の丸めとして説明され、midpointが多い集計では偏り要因になり得る
CTA:社内資料や集計を提出する前に、「0.5の扱い(丸め規則)」を明示して統一してください。丸め規則の統一は、数値の信頼性を一段引き上げます。