面接でうまく言葉が出てこない、その悔しい気持ち、痛いほどわかります。自分の考えを的確に伝えられず、もどかしい思いをしていませんか?
まず結論から言うと、難しい言葉を無理に覚える必要は一切ありません。
この記事では、元・外資系コンサル人事の視点から、「読書しろ」といった曖昧なアドバイスはせず、面接官に「この学生は深く考えているな」と思わせるための、明日から始められる具体的な語彙力トレーニング法だけを徹底解説します。
この記事を読み終えれば、語彙力に対する誤解が解け、何をすべきかが明確になり、自信を持って次の面接に臨めるようになります。
なぜあなたの話は伝わらない?面接官が見ているのは「語彙の量」ではなかった
キャリア相談会で学生の皆さんと話していると、必ずと言っていいほど「どんな本を読めば語彙力は増えますか?」という質問を受けます。その熱心さにはいつも感心させられますが、実は、この質問をする学生の多くが、面接における語彙力について大きな勘違いをしています。
多くの学生が悩んでいるのは、知っている言葉の数が少ないことではありません。本当の課題は、知っているはずの言葉を、面接という本番の会話で自在に使いこなせない点にあります。
専門的な言葉を使うと、前者は「受動語彙」、後者は「能動語彙」と呼ばれます。
- 受動語彙: 聞いたり読んだりすれば意味がわかる「知っているだけの言葉」
- 能動語彙: 実際に話したり書いたりできる「使える言葉」
面接官が評価しているのは、圧倒的に後者の「能動語彙」です。いくら難しい言葉を知っていても、それを面接官との対話の中で的確に使えなければ、評価には繋がりません。
面接で評価される語彙力の正体は「言い換え力」だった
では、どうすれば「使える言葉」である能動語彙を増やせるのでしょうか。その答えは、語彙力の正体を「言い換え力」、つまり物事を様々な言葉で説明し直す力だと捉えることにあります。
なぜなら、学生の「言い換え」能力は、その学生の「論理的思考力」の高さを直接証明するものだからです。
例えば、多くの学生が自己PRで「私にはコミュニケーション能力があります」とアピールします。しかし、これだけでは抽象的で、あなたの魅力は全く伝わりません。元人事として、私が「おっ」と注目するのは、次のように言い換えができる学生です。
「私の強みは、相手の意見の背景を汲み取り、議論を円滑に進める力です。ゼミのグループワークでは、意見が対立した際に双方の主張の共通点を見つけ出し、合意形成を促しました。」
このように、抽象的な言葉を具体的な行動や状況を示す言葉に言い換えられると、面接官は「この学生は、物事の本質を深く理解し、自分の頭で考えているな」と判断します。語彙力とは、高度なコミュニケーション能力の土台をなす、思考の深さそのものなのです。

明日から始める!元人事が教える語彙力トレーニング3選
付け焼き刃で覚えた難しいビジネス用語を並べるのは、今日で終わりにしましょう。ここでは、私が実際に多くの内定者に勧めてきた、面接で本当に使える能動語彙を鍛えるための具体的なトレーニングを3つ紹介します。
【結論】:インプット(読む・聞く)とアウトプット(話す・書く)は、必ずセットで行ってください。
なぜなら、元人事として断言しますが、入社後に活躍するのは、知識量が多い人ではなく「学んだことを、自分の言葉で説明できる人」だからです。面接とは、まさにその能力を試す場なのです。インプットとアウトプットを繰り返す習慣こそが、あなたの評価を最も高めるのです。
| トレーニング名 | 目的 | 1日の所要時間(目安) | 得られる効果 |
|---|---|---|---|
| 1. ニュース記事の100字要約 | 要点を掴み、簡潔にまとめる力を養う | 5〜10分 | 論理的思考力、要約力 |
| 2. 自己PRの3パターン言い換え | 自分の強みを多角的に表現する力を養う | 15分 | 表現の柔軟性、自己分析の深化 |
| 3. 感情の「なぜなぜ」ノート | 自分の内面を言語化する習慣をつける | 5分 | 自己理解、感情表現の語彙増加 |
トレーニング1:1日5分「ニュース記事の100字要約」
ニュース記事は、社会への関心を示すと同時に、能動語彙を鍛えるための最適なトレーニング教材です。
- 信頼できるニュースサイト(例:日本経済新聞、東洋経済オンラインなど)で、興味を持った記事を1つ選び、最後まで読みます。
- その記事の最も重要なポイントは何かを考え、「この記事は、〇〇について△△と述べている記事です」という形で、100字程度で要約し、声に出して読んでみます。
この要約トレーニングは、筆者の論理構造を理解し、それを自分の言葉で再構築する練習になり、思考の瞬発力を高めます。
トレーニング2:自己PRの3パターン言い換え練習
あなたのエントリーシートに書かれている「強み」を、異なる3つの表現で言い換えてみましょう。
- 例:「私の強みは主体性です」
- 言い換え1(行動ベース): 「私は、指示を待つのではなく、自ら課題を発見し、解決策を提案・実行できる人間です」
- 言い換え2(思考ベース): 「私は、常に『目的は何か』を考え、ゴールから逆算して今やるべきことを判断する習慣があります」
- 言い換え3(結果ベース): 「私は、所属するサークルで、前年比120%の目標を達成するために、新たな施策を立案し、周囲を巻き込みながら結果を出しました」
この言い換え練習は、あなたという人間を多角的に見せる訓練になり、面接での引き出しを格段に増やします。
トレーニング3:自分の感情を言語化する「なぜなぜノート」
面接で「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」を話す際、行動だけでなく、その時の感情や思考を語れると、話に深みが出ます。
- その日感じたポジティブな感情(嬉しい、面白い)やネガティブな感情(悔しい、不安)を一つ、ノートに書き出します。
- その感情に対して「なぜそう感じたのか?」を5回繰り返して掘り下げ、自分の思考を言語化します。
この言語化トレーニングは、自分でも気づかなかった価値観を発見するきっかけとなり、自己PRに一貫性と説得力をもたらします。
就活生のボキャブラリーに関するよくある質問
Q1. やはり読書はしなくてもいいですか?
A1. いいえ、そんなことはありません。読書は語彙力の土台となる「受動語彙」を増やす上で非常に有効です。ただし、面接対策という点では、読書と並行して、この記事で紹介したようなアウトプットのトレーニングを必ず行ってください。インプットとアウトプットの両輪を回すことが重要です。
Q2. どれくらいで効果が出ますか?
A2. 個人差はありますが、毎日15分でも継続すれば、2週間ほどで「言葉が以前よりスムーズに出てくる」という感覚を得られるはずです。1ヶ月続ければ、面接シミュレーションなどで、自分の説明が具体的になっているという明らかな変化を感じられるでしょう。
Q3. 面接で知らない言葉が出てきたらどうすればいいですか?
A3. 知ったかぶりをするのが最も悪い対応です。「申し訳ございません、不勉強で存じ上げないのですが、その〇〇という言葉はどういった意味でしょうか」と素直に質問しましょう。知的好奇心や誠実さを示せるチャンスだと捉えてください。
まとめ:言葉は「スキル」。今日から、あなたの武器になる。
今回は、面接で「頭がいい」と思われるための語彙力の鍛え方について解説しました。
- 面接の語彙力は「量より質」。評価されるのは「知っている言葉」ではなく「使える言葉(能動語彙)」です。
- 面接官に「深く考えている」と思わせる力の正体は、「言い換え力」です。
- 明日からできる具体的なトレーニングは、「ニュース要約」「自己PR言い換え」「感情の言語化」の3つです。
言葉の力は、才能ではなく、トレーニングで必ず後からついてくる「スキル」です。この記事での気づきが、あなたの自信に繋がり、次の面接で最高のパフォーマンスを発揮できることを心から応援しています。
まずはこの記事を閉じて、あなたのエントリーシートにある「主体性」という言葉を、具体的な行動を表す言葉に言い換えることから始めてみてください。
[参考文献リスト]
- マイナビ. (2024年). 2025年卒 企業新卒採用予定調査.
- 齋藤 孝. (2007年). 『語彙力こそが教養である』. 角川新書.