正直に打ち明けると、漫画『アクタージュ act-age』の原作者の事件と打ち切りのニュースを見たとき、僕も一瞬、言葉を失いました。
大好きだった物語が、突然「触れてはいけないもの」になってしまったように感じたからです。
それでも時間をかけて事実を追い、編集者としての目線と、いち読者としての気持ちの両方から整理していくと、少し見え方が変わってきました。
- なぜ漫画『アクタージュ act-age』は打ち切りになったのか
- 紙の単行本や電子版、海外版は今どう扱われているのか
- これから自分は、この作品とどう付き合っていけばいいのか
この記事では、この3つのポイントをできるだけ事実ベースで、そしてあなたの揺れる気持ちごと受け止めながら整理していきます。
なぜ『アクタージュ』打ち切りはこんなにも心に刺さるのか
まず確認しておきたいのは、あなたが今感じているモヤモヤは、とても自然なものだということです。
漫画『アクタージュ act-age』は、演技という少しニッチなテーマを、ジャンプ王道の熱さと繊細な心理描写で描き切った作品でした。主人公の夜凪景だけでなく、周りの役者たちも含めて「自分を変えたい」「表現したい」という気持ちに火をつけてくれる物語でした。
だからこそ、こんな感情が生まれやすくなります。
- 「あれだけ夢中になって読んでいた自分は、間違っていたのかな」
- 「加害行為をした原作者の作品を、これからも好きでいていいのか分からない」
- 「本棚に並んだ単行本を見ると、事件のことを思い出してつらい」
僕自身も編集部にいた頃、似たケースで同じような感情の揺れを経験しました。
ニュースやSNSの空気は一気に「許されない」「全部ダメ」という方向に流れがちです。しかし、読者一人ひとりの気持ちは本来もっと細かくて複雑です。
ここから先は、その複雑さをいったん肯定しつつ、
- 漫画『アクタージュ act-age』という作品
- 原作者マツキタツヤ氏という人物
- 作画担当の宇佐崎しろ氏
- 集英社や海外出版社など、作品を世に出していた組織
この4つのエンティティの関係を、できるだけ丁寧に整理していきます。
公式情報でたどる『アクタージュ』打ち切りまでの流れと現在の扱い
ここからは少し落ち着いて、事実ベースで全体像を確認していきます。
打ち切りまでの大まかなタイムライン
以下は、漫画『アクタージュ act-age』の連載から打ち切り、出版停止までの主な流れをざっくりまとめたものです。
📅 『アクタージュ act-age』の主な出来事(ざっくり年表)
- 2018年
- 週刊少年ジャンプで漫画『アクタージュ act-age』の連載がスタート。
- 原作をマツキタツヤ氏、作画を宇佐崎しろ氏が担当。
- 2020年夏ごろ
- 原作者マツキタツヤ氏が、女子中学生へのわいせつ行為で逮捕されたと報じられる。
- 事件は報道を通じて公になり、社会的にも大きな問題として扱われる。
- 逮捕報道直後〜数日
- 集英社および週刊少年ジャンプ編集部がコメントを発表。
- 被害者へのお詫びと、今後の対応を検討していることが表明される。
- その後まもなく
- 週刊少年ジャンプ本誌にて、漫画『アクタージュ act-age』の連載終了(打ち切り)が公式に告知される。
- 同時に、コミックスの出荷停止や電子版配信の停止が順次行われる方針が示される。
- 以降の対応
- 日本国内の紙コミックスは、新たな重版・出荷を停止。
- 電子版コミックスは配信停止。
- 海外版を発行していた出版社(例:Viz Mediaなど)も、翻訳版の出版停止や配信取り下げを発表。
- 舞台化などのメディアミックス企画も中止・終了が発表される。
ここで重要なのは、
「原作者の不祥事」と「漫画『アクタージュ act-age』という作品」の関係が、
出版側の判断として完全に切り離せないものになったという点です。
原作者マツキタツヤ氏の行為は、被害者が存在する重大な犯罪であり、
出版社としても「作品を世に出し続けること」が社会的責任や被害者感情に照らして許容できない、
という判断がなされた形です。
一方で、漫画『アクタージュ act-age』の絵を担当した宇佐崎しろ氏は、被害者への配慮を呼びかけるコメントを出しつつ、多くのファンの気持ちにも寄り添おうとしました。
ここにもまた、「作品を愛してくれた人たちの気持ち」と「被害者を最優先に考えたい気持ち」の両立の難しさがにじんでいます。
紙コミックス・電子版・海外版は今どうなっているのか
ざっくりと、現在の扱いを整理すると次のようなイメージになります。
| メディア種別 | 新規販売・配信 | 読める可能性がある場所の例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 日本語版紙コミックス(単行本1〜12巻) | 出荷停止 | 古本屋・個人の本棚・フリマアプリなど | 書店からの新規入荷は基本的になし |
| 日本語版電子コミックス | 配信停止 | 過去に購入済みの端末・アカウントで閲覧できる場合あり | 新規購入は不可 |
| 海外版(英語版など) | 多くが停止 | 一部中古市場・すでに購入済みの電子書籍 | 出版社ごとに細かな対応は異なる |
| 舞台・関連グッズ | 中止または終了 | 中古グッズ・二次流通 | 再演や新規企画は行われていない |
※上記は全体像をつかむためのイメージであり、最新の状況は各出版社・配信サービスの発表を必ず確認してください。
ポイントとしては、
- 書店で新品の単行本を買うことは、基本的に難しくなっている
- 電子版は新規購入ができないことが多い
- 海外版も含めて「新しく広く広める」という方向性は止められている
という流れになっています。
【結論】: 作品の現在の扱いを知るときは、ニュース記事だけでなく、出版社や配信サービスの公式発表を一度はチェックしてみてください。
多くの読者がSNSの断片的な情報だけで判断しがちですが、実際には「紙の重版は止めているが、すでに買った人が読むことまでは制限していない」など、グラデーションのある対応がとられているケースが少なくありません。公式情報を押さえることで、自分の行動を決めるときの不安が少し和らぎます。この知見が、あなたの判断材料のひとつになればうれしいです。
ファンとして『アクタージュ』とどう向き合うか|3つの選択肢と考え方
ここからは、読者としてのあなたが実際に選び得る「向き合い方」を、あえて整理してみます。
どれが正解・不正解という話ではなく、「こういう考え方もある」という地図だと思ってください。
大きく分けた3つの選択肢
- 手元で静かに読み続ける
- 本を手放す・離れた場所に置いておく
- 作品から距離を取り、作画担当や他の作品を応援する
それぞれの考え方を比較してみます。
| 選択肢 | メリット | 不安になりやすい点 | 被害者への配慮の観点 |
|---|---|---|---|
| ① 手元で静かに読み続ける | 作品からもらった感動や学びを、自分の中で大切にできる | 「読んでいること自体が加害につながるのでは?」と不安になりやすい | 新品販売が止まっている場合、原作者への新たな金銭的な利益にはつながりにくいが、他人に積極的におすすめする行動は慎重に考える必要がある |
| ② 本を手放す・離れた場所に置く | 本を見るたびに事件を思い出してつらくなる感覚を減らせる | 「作品を裏切ったような気持ち」になることがある | 自分の心のケアを優先することも、被害者を想う姿勢と矛盾しない。無理に読み続ける必要はない |
| ③ 作品から距離を取り、作画担当や他の作品を応援する | 作品が好きだった気持ちを、別の安全な形で次のクリエイターや作品につなげられる | 「元の作品への未練」がしばらく残ることがある | 加害者本人から距離を取りつつ、創作そのものへの愛を別の方向に向けるという選択肢になる |
ここで覚えておいてほしいのは、
どの選択肢をとっても、「真剣に悩んだ末の決断」であれば、それ自体があなたのやさしさの形だ
ということです。
選択肢①:手元で静かに読み続ける
- 新しく誰かに広めるのではなく、自分の本棚や端末の中だけで、そっと読み返す。
- 読むたびに、作品からもらった感動や学びを思い出しつつ、同時に事件のことや被害者のことも忘れないようにする。
このスタンスを選ぶ人もいます。
新品販売や電子版の新規配信が止まっている状況では、「手元にある本を読むこと」そのものが、原作者に直接的な利益をもたらすケースは少ないと考えられます。ただし、SNSで大々的に作品を推したり、二次創作を広く拡散したりする行為が、被害者の目に触れたときにどう感じられるか、という点には慎重さが求められます。
選択肢②:本を手放す・離れた場所に置く
事件の内容や報道を知ってから、漫画『アクタージュ act-age』の単行本を開くと、どうしてもつらさが先に立ってしまうこともあります。
その場合、「読むたびに心が削られる状態で無理に読み続ける必要はない」と僕は考えています。
- 古本として手放す
- 段ボールなどにまとめて、しばらく目に入らない場所に移動する
- いつか読み返したくなったときのために、処分はせず保管だけしておく
どの選択も、「被害者のことを考えて心が重い」「読むたびに罪悪感がある」という気持ちを受け止めた結果の行動です。
選択肢③:作品から距離を取り、作画担当や他の作品を応援する
もうひとつのルートは、
- 漫画『アクタージュ act-age』からいったん距離を置く
- 作画担当の宇佐崎しろ氏や、演劇・役者をテーマにした別の作品を応援する
- 自分が好きだった「表現の世界」への気持ちだけ、別の場所に託す
という選択です。
作品そのものも、原作者マツキタツヤ氏の行為も、一度に受け止めきれないとき、
「自分が大切にしたいのはどの部分なのか」を切り分けて考えることは、心の防御反応としても自然です。
【結論】: どの選択肢を選ぶかよりも、「自分はなぜ今この選択をしたのか」を一度言葉にしてみることをおすすめします。
編集現場でも、似たようなケースでクリエイターや読者が悩み続ける様子を何度も見てきました。感情の揺れが大きいほど、「なんとなくSNSの空気に流された」状態になりやすく、あとから後悔が残りがちです。理由をメモに残しておくだけでも、数年後に振り返ったとき、「あのときの自分なりに一生懸命考えていたんだ」と、自分に優しくなれます。この知見が、あなたの心の整理の一歩になれば幸いです。
『アクタージュ』打ち切りに関するよくある疑問Q&A
最後に、よく聞かれる疑問をQ&A形式で整理しておきます。
ここでの答えはあくまで「考え方のヒント」であり、唯一の正解ではありません。
Q1. 今から古本で『アクタージュ』を買うのは、やめた方がいいですか?
A. どう感じるかは人それぞれですが、判断材料としては次のようなポイントがあります。
- 古本の場合、基本的には原作者マツキタツヤ氏に新しい印税が入る可能性は低い
- ただし、作品が市場で動き続けること自体をどう感じるか、という倫理的な迷いは残り得る
「どうしても読みたい」「当時読めなかった悔しさがある」と感じる人もいますし、
「古本であっても今から買うのは気が引ける」と感じる人もいます。
どちら側に立つにせよ、被害者や関係者がこの記事を読んだらどう感じるかを一度想像しながら、自分なりの線引きを考えてみてください。
Q2. SNSで「アクタージュが好きだった」と書くのは不謹慎ですか?
A. 「不謹慎かどうか」は文脈や言い方によって大きく変わります。
- 「事件は絶対に許されない」と明確に前置きしたうえで、
「それでも作品そのものに救われた部分があった」と静かに語る - 被害者や関係者への配慮がない形で、無邪気に作品だけを持ち上げる
この二つは、同じ「好き」という言葉でも、受け取られ方がまったく変わります。
もし発信するなら、「誰かの傷に触れてしまう可能性がゼロではない場所」であることを意識し、
あくまで慎重な言葉選びを心がけるのが無難です。
Q3. 将来的に、連載再開や別媒体での復活はありえますか?
A. 現時点では、連載再開や復活の動きは現実的ではないと考えられます。
- 原作者マツキタツヤ氏は重大な犯罪で有罪判決を受けている
- 日本国内外の出版社が、作品の出版停止や配信停止という強い対応を取っている
この状況を考えると、少なくとも短期的には「どこか別の媒体で同じ作品が再始動する」という未来は描きにくいです。
Q4. 作画担当の宇佐崎しろさんを応援したいとき、何ができますか?
A. 一番シンプルなのは、
- 宇佐崎しろ氏が今後関わる新しい作品やイラストの仕事を、公式な形で応援する
- 公式に販売されている作品やグッズを購入する
- 作者本人や出版社が望む形での応援(たとえば公式サイトやSNSの告知の拡散など)にとどめる
といった行動です。
「アクタージュの続きが読みたい」という気持ちを、
「宇佐崎さんの今後の創作活動を静かに支えたい」という方向に変換していくことも、ひとつの優しい選択だと僕は思います。
おわりに|事実を知ったうえで、自分なりの答えを選べばいい
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
- 漫画『アクタージュ act-age』は、原作者マツキタツヤ氏の重大な犯罪行為によって、連載打ち切り・出版停止という厳しい対応が取られました。
- 一方で、作画担当の宇佐崎しろ氏をはじめ、多くの関係者や読者が「被害者への配慮」と「作品に救われた気持ち」の両方を抱えながら、答えの見えない状態で悩み続けています。
- あなたも今、そのひとりかもしれません。
大切なのは、
「作品を好きだった自分」を、すべて否定する必要はない。
そのうえで、「これからどう付き合うか」は、あなた自身がゆっくり選んでいい。
ということです。
- 手元で静かに読み続ける
- 本を手放す・距離を置く
- 作画担当や他の作品を応援する
どの選択を取っても、「迷いながら考えた」というプロセスそのものが、
被害者や関係者に対して誠実であろうとする気持ちの表れだと、僕は感じています。
もし余力があれば、この記事を閉じたあとに、
「今の自分は、この作品とどう付き合いたいと思っているか」
を、スマホのメモでもノートでもいいので、一度だけ言葉にしてみてください。
数日後や数年後に読み返したとき、「あのときの自分は、自分なりに必死で考えていたんだな」と、
少しだけ自分に優しくなれるはずです。
参考・出典(一次情報・主要情報源)
- 週刊少年ジャンプ編集部による『アクタージュ act-age』連載終了お知らせ(集英社公式サイト)
- 集英社によるコミックス出荷停止・電子版配信停止に関する発表
- 海外出版社(例:Viz Media)による英語版出版停止の告知
- 事件報道に関する主要ニュースメディアの記事(裁判結果の報道を含む)
- 関係者による公式コメント(作画担当の宇佐崎しろ氏など)
※本記事の内容は、これらの一次情報をもとにしたうえで、編集経験者としての視点と、いち読者としての感情の両方から再構成したものです。