「電気工事士はやめとけ」と検索した時点で、佐藤さんの頭の中には“期待”と“怖さ”が同居しているはずです。手に職は魅力的です。一方で、暑さ・危険・人間関係・収入の不安が残ったまま転職すると、後悔が起きます。
結論から言うと、電気工事士が一律に「やめとけ」ではありません。
ただし、「向かない条件」と「失敗しやすい入口」がはっきりある仕事です。
この記事では、一次情報(求人倍率・賃金・安全統計)と、現場目線の3軸診断で、未経験の佐藤さんが「やる/やらない」を自分の判断で決められるように整理します。
[著者情報]
田中 恒一(元・電気工事会社 現場リーダー/職業訓練校で未経験者支援)
未経験入社の立ち上げ支援と安全教育を担当。第二種取得〜現場配属の相談を多数受けてきました。
「やめとけ」と言われる理由を“分解”する(当事者モード)
「きついって聞いたけど、本当に続けられる?」
「危ない仕事でケガしたらどうしよう?」
「職人の世界って人間関係が怖そう…」
この不安は自然です。電気工事士の“しんどさ”は、だいたい次の4つに分解できます。
- 環境の負荷:夏の暑さ、冬の寒さ、屋外、天井裏、階段の上り下り
- 安全リスク:感電・墜落・工具事故など、「確認不足」で事故に近づく
- 現場の文化:言葉が強い人、段取り優先の空気、聞きづらさ
- 成長負荷:最初の1〜2年は「覚える量」が多く、成果が見えにくい
ここで大事なのは、「電気工事士の仕事が怖い」のではなく、“怖さが増幅する条件”を知らない状態が怖いという点です。
【結論】: 未経験の佐藤さんは、転職先を決める前に「新人がミスしやすい場面」と「ミスを防ぐ仕組み」を面談で必ず確認してください。
なぜなら、未経験者が辞めるきっかけは「体力」よりも、「確認できない雰囲気→ミス→怒られる→萎縮」の連鎖が多いからです。この知見が、あなたの成功の助けになれば幸いです。
一次情報で見る「需要・収入・安全」(解説者モード)
需要:求人倍率は“高い水準”の記載がある
職業情報提供サイト(jobtag)の記載では、電気工事士の**有効求人倍率が 3.8(令和6年の記載)**となっています。
有効求人倍率は「求人数 ÷ 求職者数」の比率です。数値が高いほど「人手が足りない側」に傾きやすい目安になります。
収入:賃金の目安は月額 27.6万円(記載)
同じくjobtagでは、電気工事士の賃金(目安)として月額 27.6万円の記載があります。
重要なのは、電気工事士の収入は「資格+経験+担当領域」で差が出やすい点です。未経験スタートで焦って比較すると、判断を誤ります。
安全:建設業は死亡災害が出ている
厚生労働省の労働災害発生状況(令和5年)では、建設業の死亡者数が 223人と示されています。
電気工事士の現場は建設領域と重なることが多く、「安全は前提条件」として持っておくべきです。

未経験が失敗しない入口設計(レポーターモード)
入口で外すと「やめとけ」になりやすい
未経験の佐藤さんが避けたいのは、仕事内容ではなく「入口のミス」です。入口のミスは、だいたい次の2つです。
- 教育が属人化している職場(教える人の機嫌と忙しさ次第)
- 安全の確認が形骸化している職場(急がせる、見て覚えろが強い)
職場選びチェックリスト(面談で聞く用)
| 観点 | 質問(面談でそのまま聞ける) | 良いサイン | 注意サイン |
|---|---|---|---|
| 育成設計 | 未経験は最初の3ヶ月で何を担当しますか? | 期間と到達目標が具体的に示される | 「現場で覚える」だけで説明が終わる |
| 安全文化 | KY(危険予知)や指差し確認は毎日ありますか? | ルールが日常的に運用されている | 「忙しいと省略することもある」 |
| 残業/休日 | 繁忙期の残業時間の目安はどれくらいですか? | 月◯時間など実数で説明される | 曖昧な表現・精神論のみ |
| 評価/昇給 | 何ができたら昇給しますか? | スキル・資格など明確な基準がある | 年功序列・評価基準が不透明 |
| 資格支援 | 第二種電気工事士の受験費・講習費は出ますか? | 会社負担・補助制度がある | 自腹前提のみ |
| 現場の種類 | 住宅/店舗/工場/改修の比率はどれくらいですか? | 仕事内容や割合を具体的に説明できる | 内容を説明できない |
| 離職率 | 直近1年の退職理由で多いのは何ですか? | 理由を正直に共有してくれる | 質問自体を避ける・はぐらかす |
資格ルートは「積み上げ」が現実的
電気工事士の資格設計では、第一種の免状に実務経験が関わる説明があります。
未経験の佐藤さんには、次のような積み上げが現実的です。

FAQ
Q1. 電気工事士は本当に食えますか?
A. 電気工事士の有効求人倍率 3.8(記載)など、需要側の情報はあります。 ただし「食えるか」は職場の単価・担当領域・資格・段取り力で差が出ます。未経験のうちは“伸ばし方”が重要です。
Q2. 危険が怖いです。未経験でも大丈夫ですか?
A. 危険はゼロになりません。だからこそ、安全文化(確認・KY・保護具)が機能する職場を選ぶ価値があります。建設業で死亡災害が出ている統計もあり、安全軽視は避けるべきです。
Q3. 第二種と第一種はどう違いますか?
A. 第二種は低圧中心、第一種はより広い領域に関わりやすい資格設計です。第一種の免状は実務経験が関わる説明があるため、働きながら積み上げる考え方が現実的です。
Q4. 「やめとけ」になりやすい人は?
A. ①確認が雑で焦りやすい人、②質問できない環境で抱え込む人、③“最初から楽して稼げる”期待が強い人は要注意です。逆に、確認癖があり、素直に学べる人は伸びます。
まとめ
- 「電気工事士はやめとけ」は真実の一部ですが、失敗条件が見えていれば回避できます。
- 佐藤さんが最初にやるべきことは、資格の勉強よりも先に、職場の育成設計と安全文化を面談で確認することです。
- 次のアクションはシンプルです。
- 職場見学を申し込む
- 面談でチェックリストの質問を投げる
- その上で第二種の学習計画を作る