先輩のメールで見た「憚られる」。意味はよく分からないけど、使えたらデキる人に見えそう…でも、使い方を間違えて失礼になったら怖い。そう悩んでいませんか?
ご安心ください。この記事を読めば、「憚られる」がどんな場面で使うべき言葉なのか、そして、もっと普段使いしやすい類語との違いが明確にわかります。特に、どんな場面でどの言葉を選べばいいか一目でわかる「クッション言葉・使い分けフローチャート」は必見です。
この記事を読み終える頃には、もうビジネスメールの言葉選びで迷うことはなくなり、自信を持って相手に依頼できるようになります。
そもそも「憚られる」とは?若手が最初に知るべき言葉の“格”
鈴木さんのように、言葉遣い一つひとつに気を配れるのは、本当に素晴らしいことです。私も2年目の頃、背伸びして難しい言葉を使おうとして、先輩に「もっと自分の言葉で話せ」と苦笑された経験があります。大切なのは、言葉の「正解」を覚えることより、目の前の相手に「どうすれば気持ちよく動いてもらえるか」を考えること。今日はそのための、一生使える「武器」の選び方をお伝えしますね。
まず結論から言うと、「憚られる(はばかられる)」は、あなたが日常的に使う言葉ではありません。この言葉は、相手への敬意が非常に高い、特別な場面で使う「切り札」のようなものです。
私が研修でよくお話しするのですが、言葉にはそれぞれ「格」があります。「憚られる」は、その中でも最上級の格を持つ言葉の一つです。この言葉の“強さ”を知らずに多用してしまうと、かえって相手に違和感を与えかねません。だからこそ、まずはこの言葉が持つ本来の重みをしっかり理解しておくことが重要です。
もう迷わない!最適な言葉がわかる「クッション言葉」使い分けフローチャート
「結局、自分のこの状況ではどの言葉を使えばいいの?」その疑問に答えるのが、このフローチャートです。いくつかの簡単な質問に「はい/いいえ」で答えていくだけで、あなたの状況に最適なクッション言葉が見つかります。

このフローチャートが示すように、「憚られる」と「恐縮ですが」には明確な上位・下位関係があります。「憚られる」は、相手が社長や役員クラスで、かつ内容が自分の立場を大きく越えるような進言である、という非常に限定的な状況で使う最上級の表現なのです。
【シーン別】そのまま使える「憚られる」と類語のビジネスメール例文
フローチャートで最適な言葉がわかったら、次は具体的な使い方を見ていきましょう。ここでは、「憚られる」と、より使用頻度の高い類語である「恐縮ですが」「恐れ入りますが」について、それぞれの“格”に合わせた例文と、やってしまいがちな失敗例を紹介します。
【結論】: 迷ったら、より丁寧すぎる方ではなく、少し控えめな表現を選ぶこと。
なぜなら、敬語の失敗で最も多いのが、丁寧にしすぎてしまう「敬語の空回り」だからです。「憚られる」を使うべきか「恐縮ですが」でいいか迷う場面なら、ほとんどの場合「恐縮ですが」で全く問題ありません。言葉のインフレは、かえってあなたの真意を伝わりにくくしてしまいます。
| 特徴 | 憚られる | 恐縮ですが | 恐れ入りますが |
|---|---|---|---|
| 敬意の度合い | ★★★★★ (最大) | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
| 使える相手 | 社長、役員、取引先の代表など | 上司、取引先全般 | 上司、取引先、同僚 |
| 主な使用場面 | 立場を越えた進言、重大な依頼 | 感謝、依頼、断り、反論 | 手間をかける依頼、質問 |
| 使用頻度 | 低い(年に数回レベル) | 高い | 高い |
| 注意点 | 多用は厳禁。相手と場面を厳しく選ぶ。 | 感謝の意も含む便利な言葉。 | 相手への迷惑を詫びるニュアンスが強い。 |
シーン1:経営陣に新しい企画を直訴する(憚られる の使い方)
「憚られる」の正しい使い方は、相手が「どれだけ目上の人か」という条件によって厳密に規定されます。
【良い例文】
件名:新規事業に関するご提案
〇〇役員
突然のご連絡失礼いたします。営業部の鈴木です。
一担当者の身で大変差し出がましいとは存じますが、現在検討中の新規事業について、一考いただきたくご連絡いたしました。
このような形で役員に直接ご意見すること、憚られますが、添付の資料にご目通しいただけますと幸いです。
【悪い例文(敬語の空回り)】
件名:会議室の予約について
〇〇部長
憚られますが、明日の会議室の予約をお願いしてもよろしいでしょうか。
解説: 直属の上司への日常的な依頼に「憚られる」を使うのは、大げさすぎて不自然です。この場合は「恐れ入りますが」が適切です。
シーン2:クライアントに納期延長をお願いする(恐縮ですが の使い方)
【良い例文】
件名:【〇〇(自社名)】納期のご相談
株式会社△△ 〇〇様
いつも大変お世話になっております。
ご依頼いただいております〇〇の件、社内で調整を重ねたのですが、どうしても当初の納期に間に合わせることが難しい状況です。
こちらの都合で大変恐縮ですが、納期を3日ほど延長いただくことは可能でしょうか。
「憚られる」に関するQ&A
Q1. 「憚られる」の読み方は?
A1. 「はばかられる」と読みます。
Q2. 「憚りながら」との違いは?
A2. 「憚りながら(はばかりながら)」も同じような意味で使いますが、「〜ながら」という形なので、よりスピーチや会議での発言といった「話し言葉」で使われることが多い表現です。「メールでは『憚られますが』、発言では『憚りながら』」と覚えておくと良いでしょう。
まとめ
「憚られる」は、相手への強い敬意を示す強力な言葉ですが、その分、使う相手と場面を厳しく選ぶ必要がある”切り札”です。
今回お伝えしたポイントをまとめます。
- 「憚られる」は、社長や役員など、圧倒的な目上への「進言」や「重大な依頼」に限定して使う。
- 日常的なビジネスシーンでは、フローチャートや比較表を参考に、「恐縮ですが」や「恐れ入りますが」を使いこなすことが、円滑なコミュニケーションの鍵となる。
- 言葉選びに迷ったら、少し控えめな表現を選ぶ方が失敗が少ない。
言葉の選択肢という「武器」が増えたあなたは、もう大丈夫です。自信を持って、相手の心を動かすコミュニケーションを実践していってください。
まずは明日のメールで、「恐縮ですが」を意識して使ってみませんか?
[参考文献リスト]
- コトバンク
- goo辞書
- マイナビ