「実写版の『リトル・マーメイド』って、そんなにひどいの?」
「アニメ版が好きなんだけど、観たら後悔する?」
2023年に公開された実写映画『リトル・マーメイド』は、公開前から賛否が大きく分かれた作品です。
結論からいうと、「ひどい」と言われた理由は、アリエル役のキャスティングだけではありません。
実際の映画に対しても、
- フォトリアルなCGがアニメ版より表情に乏しく見える
- 135分と長く、テンポが遅く感じる
- 追加された新曲や演出が好みに合わない
- アニメ版の鮮やかさや勢いが薄れた
- 「またディズニーの実写リメイクか」と感じる
といった批判が出ました。
一方で、主演ハリー・ベイリーの歌唱力やアリエル役としての演技は高く評価されています。
「全部ダメだった作品」というより、アニメ版で好きだった部分を実写版がどこまで再現してほしいかによって、かなり評価が変わる映画です。
- 1 実写『リトル・マーメイド』は本当に評価が低い?
- 2 実写『リトル・マーメイド』が「ひどい」と言われる5つの理由
- 3 アリエル役ハリー・ベイリーのキャスティングはなぜ炎上した?
- 4 逆に評価されたポイント|ハリー・ベイリーの歌唱はかなり好評
- 5 アースラ役メリッサ・マッカーシーも評価が高い
- 6 アリエルとエリックの関係はアニメ版より丁寧になった
- 7 興行収入は失敗だった?世界で約5億7000万ドル
- 8 アニメ版と実写版の違いを比較
- 9 実写『リトル・マーメイド』が合いやすい人
- 10 逆に合わない可能性がある人
- 11 実写『リトル・マーメイド』についてよくある質問
- 12 まとめ|「ひどい」と言われた理由はあるが、全部が低評価ではない
- 13 参考情報
実写『リトル・マーメイド』は本当に評価が低い?
まず実際の評価を確認すると、「世界中から酷評された」というほど単純ではありません。
| 評価サイト | 批評家 | 観客・ユーザー |
|---|---|---|
| Rotten Tomatoes | 67% | 93%(認証済み評価) |
| Metacritic | 59/100 | 2.6/10 |
※スコアは2026年10月確認時点。
Rotten Tomatoes「The Little Mermaid」
Metacritic「The Little Mermaid」
特に目を引くのが、Rotten TomatoesとMetacriticで観客側の数字が大きく違うことです。
そのため、単純に「一般客から不評だった」とも言い切れません。
公開当時には、IMDbが『リトル・マーメイド』について異常な投票活動を検出したとして、通常とは異なる評価計算を適用したことも報じられました。
つまり、この作品は映画そのものへの評価だけでなく、公開前から続いていた論争までレビューへ入り込んでいた作品です。
実写『リトル・マーメイド』が「ひどい」と言われる5つの理由

理由① フォトリアルCGでキャラクターの表情が弱く見える
実写版で特に評価が割れたのが、海中世界のCGです。
1989年のアニメ版では、セバスチャンやフランダーの表情をかなり自由にデフォルメできます。
しかし実写版では、カニや魚を現実の生き物に近いデザインへ寄せています。
その結果、
- セバスチャンの表情が分かりにくい
- フランダーがアニメ版より地味に見える
- キャラクター同士の掛け合いが淡泊に感じる
- 海中なのに映像が暗く感じる
といった評価につながりました。
映画評論サイトRogerEbert.comも、作品全体については一定の評価をしながら、水中の動きが平面的・人工的に見えることをVFXの大きな弱点として挙げています。
RogerEbert.com「The Little Mermaid」レビュー
これはCG技術が単純に低いというより、アニメだから成立していた大げさな表情を、リアルな動物へ置き換えた難しさが出た部分でしょう。
理由② アニメ版よりかなり長く、テンポが悪いと感じる人もいる
実写版『リトル・マーメイド』の上映時間は2時間15分(135分)です。
一方、1989年のアニメ版は1時間23分です。
Box Office Mojo「The Little Mermaid(1989)」
実写版では、
- アリエル自身の目的
- エリック王子の人物像
- 人間と海の世界の対立
- 新しい楽曲
- 2人が距離を縮める場面
などが追加されています。
人物を掘り下げたことで「2人の恋愛に説得力が増した」と評価する声がある一方、アニメ版のテンポを知っている人ほど、「話がなかなか進まない」「長すぎる」と感じやすくなりました。
理由③ 新曲やミュージカル演出がアニメ版ほど刺さらない
実写版には、アニメ版でおなじみの、
- 「パート・オブ・ユア・ワールド」
- 「アンダー・ザ・シー」
- 「キス・ザ・ガール」
- 「哀れな人々」
などに加え、新曲も追加されています。
エリック王子の「Wild Uncharted Waters」や、アリエルの「For the First Time」、スカットルとセバスチャンによる「The Scuttlebutt」などです。
特に「The Scuttlebutt」はラップ調の楽曲で、作品の中でもかなり好みが分かれました。
Rotten Tomatoesがまとめた公開当時の批評でも、新曲について「作品に合わない」とする意見が紹介されています。
Rotten Tomatoes「The Little Mermaid First Reviews」
逆に、ハリー・ベイリーが歌う「パート・オブ・ユア・ワールド」は評価の高い部分です。
「歌がダメ」なのではなく、旧曲の評価が高い一方で、追加曲への評価が分かれたと整理した方が実態に近いでしょう。
理由④ アニメ版の明るさ・ファンタジー感が薄れた
1989年版『リトル・マーメイド』は、鮮やかな色彩とデフォルメされたキャラクターが特徴です。
一方、実写版は人間や海中生物を現実世界になじませる必要があるため、映像全体がかなりリアル寄りになりました。
その結果、
「アニメ版の華やかさがなくなった」
「海の世界なのにワクワクしない」
と感じる人もいます。
Washington Postのレビューでも、実写俳優と大量のCGを組み合わせた映像について、アニメ版とは異なる違和感が指摘されています。
The Washington Post「The Little Mermaid」レビュー
これは実写化作品全般で起こりやすい問題です。
アニメなら自然に受け入れられる表現でも、現実に近づけるほど「本物っぽさ」と「ファンタジーらしさ」のバランスが難しくなります。
理由⑤ 「またディズニーの実写リメイク?」という不満
『リトル・マーメイド』単体ではなく、ディズニーの実写化路線そのものに不満を持つ批評もあります。
ディズニーはこれまで、
- 『美女と野獣』
- 『アラジン』
- 『ライオン・キング』
- 『ムーラン』
- 『ピノキオ』
など、過去のアニメ作品を次々と実写・CG作品として作り直してきました。
そのため『リトル・マーメイド』についても、
「元の作品が完成しているのに、なぜもう一度作るのか」
という批判が出ています。
Rotten Tomatoesが紹介した批評の中にも、作品を「不要なリメイク」と見る厳しい評価があります。
一方で同サイトの批評家総評では、ハリー・ベイリーの演技を評価し、ディズニーの実写リメイクの中では楽しめる部類とまとめています。
アリエル役ハリー・ベイリーのキャスティングはなぜ炎上した?
実写版『リトル・マーメイド』を語るうえで避けられないのが、ハリー・ベイリーのキャスティングをめぐる論争です。
2019年にアリエル役への起用が発表されると、1989年版では白い肌と赤い髪で描かれていたアリエルを、黒人俳優のハリー・ベイリーが演じることに反発する投稿が広がりました。
「#NotMyAriel」というハッシュタグも話題になっています。
ハリー本人も後に、自身のキャスティングに対して人種差別的な反発があったことについて語っています。
Los Angeles Times「Halle Bailey opens up about racist Little Mermaid backlash」
ここは分けて考える必要があります。
映画を観たうえで、
- 演出が好みではなかった
- アニメ版のビジュアルを再現してほしかった
- 脚本やCGに不満がある
と評価することと、出演者の人種そのものを理由に攻撃することは同じではありません。
公開後にはIMDbが異常な投票活動を検出したため、通常とは異なる重み付けで評価を算出したことも報じられています。
The Washington Post「Critics of Halle Bailey’s casting review bomb The Little Mermaid」
そのため、実写版のネット評価を見る場合は、映画そのものへの批評と、公開前から続いていたキャスティング論争を切り分けた方が分かりやすいです。
逆に評価されたポイント|ハリー・ベイリーの歌唱はかなり好評

批判の多い作品ですが、主演のハリー・ベイリーについては肯定的な評価が目立ちます。
Rotten Tomatoesの批評家総評でも、ハリー・ベイリーが主演として作品を引っ張っている点が評価されています。
特に評価されているのが歌唱です。
「パート・オブ・ユア・ワールド」をはじめ、ハリーの力強い歌声は実写版最大の魅力のひとつと言っていいでしょう。
Metacriticに掲載された批評でも、ハリーの歌声や演技を高く評価するレビューが複数あります。
Metacritic「The Little Mermaid Critic Reviews」
アースラ役メリッサ・マッカーシーも評価が高い
アースラを演じたメリッサ・マッカーシーも好評だったポイントです。
アニメ版の強烈な存在感をそのままコピーするのではなく、実写映画として成立するアースラへ落とし込んでいます。
特に「哀れな人々」での歌唱や演技については、複数の批評で肯定的に評価されました。
そのため、
「キャストが全部ダメだった」
という評価は、実際の批評傾向とはかなり違います。
アリエルとエリックの関係はアニメ版より丁寧になった
実写版で大きく追加されたのが、エリック王子の人物描写です。
アニメ版では、アリエルがエリックに強く惹かれるところから物語が一気に動きます。
実写版ではエリック自身も未知の世界へ興味を持つ人物として描き、アリエルとの共通点を増やしています。
また、アリエルも単に「王子に会いたい」だけではなく、人間の世界そのものを知りたいという好奇心がより強調されました。
Los Angeles Timesのハリー・ベイリーへのインタビューでも、実写版はアリエルの動機を恋愛だけではなく、地上世界への好奇心まで広げていることが紹介されています。
Los Angeles Times「The Little Mermaid Halle Bailey interview」
この追加を「人物に厚みが出た」と見るか、「そのせいで長くなった」と見るかも評価が分かれるところです。
興行収入は失敗だった?世界で約5億7000万ドル
「実写リトル・マーメイドは大爆死した」という表現を見かけることがありますが、興行収入だけを見ると少し乱暴です。
Box Office Mojoによると、世界興行収入は約5億6960万ドル。
内訳は、
- 北米:約2億9817万ドル
- 海外:約2億7145万ドル
でした。
Box Office Mojo「The Little Mermaid」
2023年の世界興行収入ランキングでは11位です。
もちろん、映画は製作費や宣伝費も巨額なので、興行収入だけで「大成功だった」とまでは判断できません。
ただ、「誰にも観られず興行的に完全失敗した作品」というわけでもありません。
アニメ版と実写版の違いを比較
| 比較 | アニメ版 | 実写版 |
|---|---|---|
| 公開 | 1989年 | 2023年 |
| 上映時間 | 1時間23分 | 2時間15分 |
| アリエル | アニメならではの大きな表情 | ハリー・ベイリーが演じる |
| 海中生物 | デフォルメされたデザイン | 現実の生き物に近いCG |
| エリック | 比較的シンプルな人物描写 | 背景や価値観を追加 |
| 楽曲 | クラシック曲中心 | 旧曲+新曲 |
| テンポ | 速い | 人物描写を増やしてゆっくり |
実写『リトル・マーメイド』が合いやすい人
- ハリー・ベイリーの歌を楽しみたい
- ディズニー・ミュージカルが好き
- アニメ版と違う解釈も楽しめる
- アリエルとエリックの関係をより丁寧に見たい
- アニメ版の完全再現にはこだわらない
特に歌を重視する人には、かなり見どころがあります。
ハリー・ベイリーの歌唱は、否定的なレビューでも評価されることが多かった部分です。
逆に合わない可能性がある人
- 1989年版の映像・キャラクター造形が大好き
- セバスチャンやフランダーのアニメ的な表情を求める
- テンポの速い映画が好き
- フォトリアルCGの動物が苦手
- ディズニーの実写リメイク自体に飽きている
このタイプなら、実写版を観て「アニメの方がよかった」と感じる可能性は高くなります。
特に映像面は好みがはっきり出ます。
実写『リトル・マーメイド』についてよくある質問
実写『リトル・マーメイド』は本当にひどい?
一概には言えません。
CG、上映時間、新曲、実写化そのものには厳しい評価があります。
一方、主演ハリー・ベイリーの歌唱・演技や、アリエルとエリックの人物描写を評価する声も多くあります。
Rotten Tomatoesの評価は低い?
2026年10月確認時点で、批評家スコアは67%、認証済み観客スコアは93%です。
少なくともRotten Tomatoesでは、観客側の評価はかなり高くなっています。
なぜMetacriticではユーザー評価が低いの?
Metacriticではユーザースコアが2.6点となっています。
一方、公開当時にはIMDbが異常な投票活動を検出したことも報じられており、この映画は公開前のキャスティング論争を含むレビュー爆撃の影響が指摘されています。
そのため、ユーザースコアだけで作品の出来を判断するのは難しいです。
アリエルが黒人になったから不評だった?
それだけではありません。
ハリー・ベイリーの起用に対して人種差別的な反発があったことは報じられています。
一方、映画公開後には、CG、テンポ、新曲、長い上映時間など、映画そのものに対する具体的な批判も出ています。
この2つは分けて考える必要があります。
ハリー・ベイリーの演技は不評?
むしろ、批評家からは高く評価された部分です。
特に歌唱力については、『リトル・マーメイド』実写版の大きな長所として挙げられています。
興行的には失敗した?
世界興行収入は約5億6960万ドルで、2023年の世界興行収入ランキングでは11位でした。
製作・宣伝コストまで考えると収益性を単純には判断できませんが、「誰にも観られなかった大失敗」という数字ではありません。
子どもと観ても大丈夫?
Disney公式ではPG指定で、ファミリー向けのファンタジー・ミュージカルとして案内されています。
ただし上映時間は2時間15分あるため、小さな子どもと自宅で観るなら途中で休憩を入れてもいいでしょう。
まとめ|「ひどい」と言われた理由はあるが、全部が低評価ではない
- フォトリアルCGによって、アニメ版よりキャラクターの表情が弱く感じられるとの批判がある
- 実写版は2時間15分あり、アニメ版より長いためテンポへの不満も出た
- 新曲、とくに「The Scuttlebutt」は評価が分かれた
- ディズニーの実写リメイク路線そのものへの批判もある
- ハリー・ベイリーのキャスティングをめぐって、公開前から人種差別的な反発が起きた
- 公開後にはレビュー爆撃も問題になった
- 一方、ハリー・ベイリーの歌唱・演技は批評家から高く評価されている
- アースラ役メリッサ・マッカーシーへの評価も高い
- 世界興行収入は約5億6960万ドル
実写『リトル・マーメイド』は、「何もかも失敗した映画」ではありません。
一番評価が分かれたのは、1989年のアニメ版が持っていた色彩・テンポ・キャラクター表現を、実写とフォトリアルCGへ置き換えた部分です。
アニメ版そのままの『リトル・マーメイド』を期待すると違和感が出やすい一方、ハリー・ベイリーの歌を中心に「別のリトル・マーメイド」として観れば評価が変わりやすい作品です。